性欲と恋愛は別であると、ある男は言った。その単純明快な言葉を私はすんなりと受け入れることができた。そうだよね、うん。
私だってそう思う。本当に好きな相手には簡単に手なんて出せないんじゃないかな。ただの理性の問題?よくわからないけれど、私なら、そうかな。
でもその気持ちとは別に、まあ、人間ですから、私も。しかも思春期真っ最中の。性欲というものがあるわけで、なんかいい雰囲気になってきたら「私、好きな人とじゃなきゃ無理だから」なんて言えるほど純情無垢な女でもないですから。しょうがないよねって結論にいつも至る。相手だって私のこと本気じゃないことくらいわかっているしね。

「ねえねえ、この前言ったじゃない。性欲と恋愛は別だって」
「うん」
「もし黄瀬くんに好きな人が出来たとして、その子も同じこと考えてたらどうするの?わかるわかるって言われたらどうするの」
「んー、実はそれ言われたんスよね」
「何を?」
「わかるわかるって、私もそう思うよって」
「うんうん」
「好きな子が同じ考えだってわかったらすげえ虚しくなって、今までの女と全部切ったんスよ」
「へえ、」

なんて、澄まし顔で言った。できてないかもしれないけれど。だって、心臓はバックンバックンうるさいんだもの。
ねえねえ、黄瀬くん、それって私のことじゃない?間接的に告白してきてない?
「じゃあ私も全部切らなきゃ」と言えば彼の澄まし顔が崩れた。



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