のるくれ | ナノ
「転入生?」
四時間目の終了を告げるチャイムが鳴り、各教室内が一斉に喧騒で溢れる。
一クラスに、男女合わさってぴったりと、教師を除いて三十五人。冬の空気が漂う廊下で騒ぐ者も少ない。配膳係が数名、給食を迎えにドアを開けるのみである。
休み時間―――校庭の桜が咲く頃には、この教室も閑散とするであろう。しかし今は、窓ガラスが白く染まるほどの熱気がこもっている。
その中に亮太と三島もいた。空いた席を挟んで、授業中眠くてたまらなかった、腹が減った、昼休みは何をしようかなどと雑談に興じている。
いつも通りの流れだった。だらだらと時間を潰し、腹を満たし、成長期の余りある体力をほんの少し発散し……同じ校舎から飛び出て同じ校舎に飛び戻って。
潮流を変えたのは、会話がいったん途切れ、三島が放った単語である。亮太は聞き慣れない様子で鸚鵡返しに答えた。
「ああ、転入生。新学期に来るらしいぜ」
「へー。……なんで三島が知ってんの?」
まだ二月に入ったばかりだというのに。
後ろの机に片腕を置き、もう一度声を上げる亮太へ、三島はどうってこともない、と笑った。
「インチョーとコウチョー先生の話が聞こえたんだよ」
廊下でさ。あの人たち、声でかくて自分らの会話がだだもれってそろそろ気づいた方がいいよなあ。
呟いて頬杖をつく三島に、亮太が詳細を訊こうとしたその時、
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