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「一緒に行くか?」

クラウドの口から出た言葉に顔を上げると、そこにはいつものクラウドの姿がある。

いまいち言葉の意味が分からない私にクラウドは少し微笑むとカウンター越しに私の頬に触れた。

優しいその手はするりと頬を撫でた、心地よさの中クラウドの声がまた響いた。

「寂しいだろ?」

「…」

ようやく意味を理解した。つまり俺が仕事に行っている間俺と会えなくて寂しいだろ?

そうゆうこと。それに思わず顔を歪ませてしまった。

いつも冷静で意地悪な彼は口元を釣り上げて微笑んだ。

寂しいといったらそうかもしれないが、仕事はしょうがないし。

なんだかその気持ちを口にはしたくなかった、黙っているとクラウドの触れていた頬は離れていった。

「仕事、遅れるよ」

「だから一緒に行くか?」

「お店あるんですけど?!」

お店のことを考えると空けることなんかできなし、マリン達の世話もあるし。

なんだかいつも彼によく考えろ。そう言われているのに

今日は彼にその言葉をぶつけたくなってしまった。

するとすっかり表情がさっきと変わってしまったクラウドは立ち上がると、ため息をついた。

「正直じゃないな」

「うっさい!自分もでしょ!」

「俺はいつでも正直だ」

嘘付けチョコボ頭。ツンツンしっぱなしのくせに。

クラウドは隣のイスに置いてあった荷物を持ち上げると、店の出口に向かっていった。

「じゃあ行ってくる」

「うん」

ゆっくりと店を出ていった彼の姿をしばし見つめていると

なんだかモヤモヤする気持ちがあることに気づく。居心地の悪い感情がある。

ここに、取り残されてる。

「行ってきなさいよ」

後ろから声が聞こえたと思えばそこにはティファの姿があった。

にこやかに笑っているが、この話を聞いていたのだろうか。

「お店は私がやるから」

「でも」

その先の言葉がティファの満面の笑みで消されてしまった。

残っているのは正直な私の感情。

「ありがとうっ」

思わず走り出して店のドアを開けたが、

もうクラウドは行ってしまったかもしれない。そう考えながら顔開けると

聞こえたのはバイク音。

すぐに分かったクラウドの自慢のバイクの音、思わず跳ね上がった心臓と一緒に

前を見ると、そこにはもうバイクに乗り込んでいるクラウドの姿があった。

「クラウドっ」

こっちを見つめていたクラウドが微笑むと私はまっさきに彼のもとへ駆け込んだ。

思いっきり走ってブレーキがかけられなくなった私を抱きとめて、また彼は優しく笑う

「乗れ」

「うんっ!!!」

だいぶ後ろに乗ることに乗り慣れた私は素早くクラウドの後ろに乗り込むと、

お腹に手を回した。そして強い力でぎゅっと抱きしめた。

「クラウド、待っててくれたの?」

「ああ、来るって分かっていたから」

なんだか恥ずかしい気持ちもあったが、今はクラウドの傍にいれることが嬉しい。

クラウドの声と共に走り出したバイクから見える風景はまったくいつもと違って見える

「早く終わったら、どこに行きたい?」

「うん、景色が綺麗な所!!!」

今見ている景色もさっき見ていた景色もすごく綺麗に見える。

きっとそれは、


















     



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