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「NO NAME、もう出発するのか?」

砂浜で海を眺める、NO NAMEに声をかけたのはソラだった。

少し不安そうな顔をして、栗色の髪をなびかせるNO NAMEを見下ろる。

「うん、もうリクとカイリにはお別れを言ってきたの」

「…あいつら、見送りもなし?!」

「さよなら、じゃないからって…!」

NO NAMEはそう言ってソラに笑いかけるが、ソラの瞳は細まった。

「俺、本当はもう…離れたくなんかないんだ、NO NAME」

ソラの両手が伸ばされると、NO NAMEの両手を包んだ。

ぎゅ、っと体温を確かめるように握られた手にNO NAMEは笑った。

「…さよなら、じゃないよ」

「うん、知ってる…」

それでもソラの顔ははれなかった、ソラは自分の旅に付いてきて欲しい、と言っていたけれど。

私には会わなくちゃいけない人がいる。

「…しばらく会えなくなるだけだよ?」

「それが、辛いんだ……俺は…っNO NAMEが、」

ソラが言葉を続けようとした時、ソラの頭に何かがぶつかる。

「っ…たあぁー」

ソラの頭に投げ飛ばされてきたものはパオプの実だった。

ソラは振り返ると、そこには仁王立ちしているカイリと、苦笑したリクの姿だった。

「おいソラ!抜け駆けなんて卑怯じゃないか?」

笑いながらリクは言うと、腕を組んでNO NAMEに手を振り上げた。

「身体に気をつけろよ!NO NAMEっ」

「早く戻ってきてねっ!」

「ありがとうっ、リク!カイリ!!」

NO NAMEは微笑むと、歪んだ顔をしたソラの顔を見上げた。

のぞき込むようなその仕草にソラは一瞬戸惑う、

「ソラ、その続きは帰ってきてから聞くよ」

「…じゃあ、必ず、帰って来いよ」

「うんっ」




NO NAMEはソラの手を離すと、瞳を閉じた。

包んでいく暖かい光の感覚に、息を吸い込んだ。







――会いに行こう、













   


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