KH | ナノ
01033/3
人気のない道を二人でゆっくりと歩く、NO NAMEの背は小さくて、前の姿の時の背とあまりかわりはなかったが、
栗色の髪が揺れる度になんだか暖かい香りが鼻をつく。
「これからはソラと島にいるのか?」
てっきり頷くのだと思ったところ、NO NAMEは小さく首を振った。
「ううん、ソラは旅に出るの…私も、これから友達に会いに行く」
NO NAMEの眼差しはどこか遠くを見つめているようだった、
そして柔らかい微笑みを浮かべると、“アリス、アリエル…”とつぶやく。
そしてどうしようもない思いがまた溢れ始めた。
かなわないと知っていても、やめることなどできない。
ずっとその笑顔を見ていたいと想う。
「俺も、一緒に行っていいか、あんただけだと危なっかしい」
「…何その言い方っ!!」
怒ったように頬を含まらせているNO NAMEに笑いかけると、
優しい笑顔を浮かべたNO NAME。
――できれば、ずっと一緒に旅をしていたい。
―――ソラに見つからないように。
―そう思う、俺は、やっぱりおかしいんだろうな。
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