KH | ナノ
01023/3
風がなびく道の中、大剣を担ぎながら道の奥を見つめた。
小さく息を吐き出すと、光の少女を想う。
隣にいたはずの小さな少女、暖かく笑う少女がいなくて、
切なくなる心はいつものことだったが、
いつまでたっても慣れない。
「NO NAME、」
小さな声で名前を呼ぶ。
その時、声が聞こえた。自分の名前を呼ぶ、あいつの声が。
それはすぐ真上からで、
顔を上げると、会いたかった人が空中から自分に迫っていることに気づく。
「な…っ…」
空から落ちてきているNO NAMEを唖然と見上げながらも、受け止めようと構えた瞬間
自分に大きな衝撃を感じた。
「いったああぁっ!!!」
すぐそばで叫ばれた懐かしい声に顔を上げれば、自分の腕に収まっている栗色の髪の少女が視界に入る。
それはずっと探し続けた人の本当の姿で、
一瞬心臓が止まったような気がした。
息もできないぐらいの空間で、鼓動が小さく動き始める。
「クラウドっ!」
俺を視界に捕らえたNO NAMEは嬉しそうに飛びついてくると、俺を抱きしめた。
伝わってくる暖かい感覚につい、頬を緩めてしまった。
「……あんた、本当にNO NAMEだよな」
「うん!久しぶりっ」
目の前で笑うNO NAMEの笑顔が眩しくて、久しぶりのその笑顔に息が漏れた。
「……あんたは、やっぱり光がふさわしい」
俺の言葉に少し戸惑ったNO NAMEは申し訳なさそうに俺を見上げた。
「あの時はごめんね、」
「謝るな、戻れたんだからそれでいい」
ふっと笑うと、安心したようにNO NAMEはまた笑顔を見せた。
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