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雲が流れる青い空が泣いているようだった。なびく風が髪を揺らして、目の前の金色の髪が、揺れた。クラウドは私の瞳を見ては、小さく、言葉を放った。それが鼓膜を揺らすと同時になんだか、誰かの鳴き声が聞こえているようだった。唇を小さく開けて、クラウド。と名前を呼べば、彼は眉を寄せて、視線をそらすことなく私を見る。

「こんなことで許してもらえるとは思ってない」

「・・・じゃあ、彼のぶんまで生きればいいよ」

クラウドの罪がどうすれば許されるだなんて私にもわからない、でもせめて貴方を守って死んだ彼のぶんまで生きればいい。彼の成せなかったことをすればいい、彼が生きたかった世界を、精一杯生きれば、いい。

少し驚いたようにクラウドは瞳を大きく見開いたけれど、すぐにそれは細まって固く、苦しそうな表情になる、胸の奥がひび割れているようなそんな顔、苦しくてたまらないようなそんな顔。彼にとってこれが一番苦しい答えなのは知ってる、クラウドは精神的にもとても弱くて、優しい人だから。

「どうして」

弱々しく吐かれた言葉が、また響く。俯くようにこちらを向かないクラウドに微笑むように頬を緩ませれば、なんだか泣きたい気分になった。ああ、なんだか寂しい。クラウドの罪について語らねければならないなんて、彼のことについて、死について、語らなければならないなんて。もうとっくに理解したはずなのに。

「私にも、わからないよ」

彼の答えも、罪の償い方も何も、知らないよ。誰にも、わからないんだよ。わかるのは、多々一人だけ、彼だけなんだ。だからこれからの人生を償うために、悩みながら生きるのではなくて、自分なりに、償うだけでいいんじゃないか。自分の人生を生きればいい。



そして青い空を見上げた、空が青いと教えてくれたのは彼だった。








   

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