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「それでね、聞いてよNO NAME」

「うん、」

隣でグラスを吹きながら、話す親友のレナを見つめながら暗い店内に流れるスローの曲に耳を傾けていた。柔らかい栗色の髪を束ねた髪をといて、レナは微笑む。

「前にこの店に来たお客さんなんだけどね、かっこいい人がいて・・・声かけたらまたこの店に来てくれるって!」

相変わらず、そうゆうのが好きな親友に微笑みながら、良かったね、と放てば人ごとではないような顔を向けてきて、どうしたのかと顔を傾ける

「それが、そのお客さんNO NAME目当てらしいのよねー」

「・・・そう、なんだ」

自分にはそうゆう話は似合いそうにない、自分目当てと言われてもどう反応すればいいのかもわからないし、どうすればいいのかもわからない。そもそもそうゆうお客様は好きではない、この店に勤めているのだって雰囲気が好きで、そうゆう付き合いを求めてでもない。

「で、もう来てるのよ。あそこに、」

「そう、でも私・・・もう上がりだから」

レナは自分の色恋が好きなわけじゃない、他人の色恋沙汰が好きなのだ。だからこうやって私と男の人を関わらせようとするけど、私はそんなに好きじゃない。でも親友はこのことにはうるさいから、もう上がりの時間だということに少し嬉しくなる。

「じゃあ、また明日」

残念そうなレナに微笑んで、身支度をして、店を出る。暗い道を歩いては、家への帰り道をまっすぐ目指す。こうゆう暗い道を歩いていると、昔を思い出す。わけもなく歩いていたあの頃に、少しだけ戻りたいだなんて、思うときもある、そしたらまた彼に会えるから。彼は必ず、私を見つけてくれるから。

ふと、顔を上げると数人の男の人が先の方の道を塞いでいるのが見えた。仲間同士で話しているようだが、通してください、なんて言っても通してくれるか怪しい集団だったので、止まって少し考える。でも考えていても仕方がない、家へ帰るにはあの道が一番近いんだ。足を踏み出そうと時、肩に触れた手に目を見開く、同時に響いた声が鼓膜を揺らした。

「やめておいたほうがいい」

「・・・えと、あ・・・クラウド」

最近知り合ったばかりの、顔立ちがそこにあった金髪の髪が揺れて、底光りする青色の瞳がこちらを覗く。彼と、同じ青い瞳だ、息を吸い込むと彼が乗っているものを見ると、大きな黒いバイクがそこにはあった。かっこいい、形してるなあ、とぼんやりと思っていると彼は後ろに乗れと言うから疑問を浮かべた顔をしてみれば、平然と彼は言葉を放つ。

「送って行く」

「いいよ、いいよ、あそこ通ればすぐだから」

にこり、と笑ったけれど彼はなかなか頷いてくれなかったので、じゃあお願いします。と言ってみれば、少しだけ微笑んだ。綺麗な顔立ちで、女の子の格好をしても似合いそうだ・・・、なんて思う。絶対怒られるだろうけど。後ろに乗るように指示されて、ゆっくりと乗ってみればぐらり、とバイクが動いた。バイクなんて乗ったことない、勢いよく走り出したバイクの揺れに思わずクラウドの服を掴んでしまった。

「あ、ごめんっ」

「そのまま捕まってろ」

クラウドの言葉に頷くと、向かった先は遠回りの道ではなく、あの男たちが群がっている道の方だった。クラウドは無言でそのまま、男達めがけてバイクを走らせる。

「あっぶねえぞ!こらあ!!!」

そんなところにいるお前たちが悪い、とでも言いたそうな顔で、でも無言でバイクを走らせて、時々道を聞いてくる。何回か角を曲がったところで、家が見えてきたのでクラウドに言うと、出だしと違って、ゆっくりと止まる。

「わざわざありがとう」

「いや、大丈夫だ」

小さく手を振って、またバイクを走らせるクラウドを見送って、家の中に入ると息を吐き出した。








   

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