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「ねえ、あの漫画見た?最後まで読み終わった?」

「あーうん、今度返すね。今日忘れてきちゃったよ」

カフェの隅の席で奏子が紅茶を飲みながら笑顔になると、あの漫画のことについて語りだした。感動ものだと、すごく切ないと。確か失恋して終わる話だった、最初から叶わない恋だとわかっててヒロインは努力したのだ、いいところまでいったのに結局は叶わない恋だった。そんな切ない漫画が面白いのは話の構成力と絵と、そうだな・・・身近に感じる想い。といったところだろうか、若い子達が抱きそうな感情をよく描写していたと思う。

「でも馬鹿なヒロインだよね」

「またそうゆうこという!」

馬鹿なヒロインだ、なんでわざわざ叶わない恋をするのだろうか、叶わないと、自分が傷つくだけだとわかっているのに、どうして恋を、するのだろうか。胸の中で溢れ出した悲しみと切なさが目からこぼれ落ちた、どうして泣いているのかわからない。奏子が慌てたように私の背中をさすってくれた。

まったく馬鹿なヒロインだ、私みたいに何気ないことで涙したことがたくさんあるだろう。小さなことで泣きたくなるだろう、小さなことで嬉しくなるだろう、彼のことを思えば心躍るだろう、どんなに叶わないと分かっていても、それでも、好きになるだろう。

好きになるとは、そうゆうことなんだ

恋をするとはそうゆうことなんだ

好きにならない方が絶対いいのに、楽なのに、私は馬鹿だ。







だって止められない

 

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