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「おい、飯」

ソファに横たわりながら、それを見る私に視線を向けて小さく囁いた彼の名前はジュダル。少し眠そうで、瞳をうすく開いて、早くしろよ。と囁く。私は頷いて、台所に向かって冷蔵庫を開けようとしたが、それを停止してゆっくりとジュダルに向き直った。

「すいません、状況が理解できないんですが」

理解できない。彼はついさっき家にやってきた泥棒君のはずなのに。ここはどこだやら、きっと異世界やら、マギやら、色々聞かされて・・・結局、結局どうなったの?私の話も聞かないまま、ここにいるだの勝手に決めて。不思議な格好をした不思議な青年、ジュダルは私に飯を要求している。

「状況?お前が俺の奴隷ってことは言っただろうが」

「言ってないよ!何言ってんの!?」

なんか勝手に決めてるし!奴隷ってなんなの?!反発しようとしたが、彼が薄く笑って私を見た。その視線の裏に何か怖いものが眠っていそうで、ぞくりと背筋が震える。なにこれ、この人・・・同じ歳ぐらいなのに。単純に感じたのは怖い、ということ。まるでジュダルの言う通り、違う世界を生きてきた人みたいに。

「まだ信じられねぇなら、見せてやろうか」

彼がそう言った瞬間、彼の手のひらに出現すた氷の塊のようなもの、それは一瞬で消える。ジュダルは驚く私を見て優雅に笑ってみせると、再びソファに横になった。

「早く作れよ」

今のは、本当に魔法というものなんだろうか。彼の話すことは信じがたいことばかりだけど、本物を見せられたら何も言えない。私を殺すことなんて簡単だと言っているようで、逆らうことなんてできない。おとなしく夕飯を作ることにして、彼がいつまでいるのか考えた。

「できたよ、さっさと食べて・・・・・・て、」

台所からリビングにあるソファを覗くと、彼の姿は変わらずそこにあったけれど反応がない。近づいてみれば、正しく聞こえた呼吸音。彼の瞳は閉じられていて、薄く開かれた唇からは小さな唸り声が聞こえた。その姿を見つめながらぼんやりと考える。なんで、この世界に来たのだろう、と。彼の反応から来たかったわけじゃないようだ、ちゃんと帰れるのだろうか。息を吐き出すと、夕飯にラップをかけた。









突然の、

   

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