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「ハルには会わなくていいの?」

「うん。大丈夫、また会いに来るし・・・それに」

「うん?」

「秘密、すぐわかるよっ」

そう言って手をひらひらと振り上げれば、店を出て行く。それを待っていたかのように外で待機していた車を見つけると、息を吐き出した。扉が開くと同時に見える黒いスーツを身にまとった優山の姿

「今日用事あるんじゃあ・・・」

「そうだね。でも送ってあげるから電話してって言ったのに」

「うん、ごめん。」

はあ、と息を吐き出した優山に手をひかれれば車に乗り込む。

「わざわざ早く終わらせて来たんですよ、お嬢様。」

「お嬢様はやめてって言ったのに、安藤さん」

はは、と言ってごまかす安藤さんに苦笑いすると、優山の視線に気づく

「あ、私優山に間違えられちゃったみたいでさー春に逃げられちゃったよ」

「春は臆病だからね・・・いつまで逃げてるんだか」

「・・・私も逃げられるようになるかな」

私も優山のように、春に逃げられるのかな

あの幸せそうな笑顔を、見れないのかな



でも間違っても、自分には向けてくれないんだろうなあ



「私の新しい家って?みっちゃんとこに私も居候したかったのになあ」

「それは絶対だめだよ、男しかいない家で・・・」

「別に大丈夫だよ、みんな家族だし」

そう思ってくれてないかも、しれないけど








踏み出したのは一歩

   

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