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「いどもー!!」

勢いよく店に踏み出せば、グラサンごしのみっちゃんの歪む顔が見えた。同時に店にいた雫ちゃん、そしてクラスメートの夏目さんとササヤンがこちらを向いた。

「あー!NO NAMEちゃんです!こんにちはー!!」

「どうしたの?あ、そっか吉田と双子なんだよね。ってか一緒に暮らしてないんだ」

「いやー一緒に暮らしてないのよね、だから会いに来ました」

みっちゃんの方を向くと、みっちゃんの顎が上がって、春の部屋らしきところを指す。春は転入してきた私に挨拶もなく、そのまま不登校。もう、私のせいになっちゃったじゃないか。みっちゃん怖いんだから、やめてよね。階段を駆け上がろうとしたとき、雫ちゃんの声がした。

「ハルが不登校なのは貴方のせいですよね」

響いた声に、夏目さんとササヤンの瞳が見開いた。そして無表情のままの雫ちゃんだったがあきらかに私を敵視しているような瞳を向けていた。

「・・・別に脈ないってわけじゃないんだ・・・ふうん」

にやりと笑えば、雫ちゃんの疑問そうな顔が見えた。また笑顔を浮かべれば、口を開く

「そうだよ。私のせいだ」

「・・・なんでですか、ハルの双子なら彼の事情も知っているはず」

兄弟、父親、家庭の事情。我が家はややこしすぎて、わけわかんない。私が問いたいぐらいだ、でも春のことはよく知っている。父が春を呼び戻していることにも。

「私は優山とは違う、もしろ戻ってきてほしいの」

目を見開いた雫ちゃんに息を吐き出した

「嘘だよ。大丈夫、ちゃんと学校行かせるから」

それじゃあ、と手を振り上げて階段を駆け上がれば、小さく雫ちゃんの声が聞こえたような気がした。


――彼を泣かせないでください









どいつもこいつも・・・、



全部私が悪いみたいに、勝手に悪人にしないで








それでも私は悪人だけど

 

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