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元老院が消えてから、バンパイア側では新しく中枢が決まって、立て直しに入っていた。もう、元老院ではないが。玖蘭枢に、玖蘭であることを明かした琉生と私。琉生はその動きに強力することになっていて、すでに玖蘭枢とも何回か会っていた。優姫に会いたい、と思ってはいたものの中々踏ん切りがつかなかった。会おうと思えばいくらでも会えた。私たちは従姉妹という立場であるから。でもそうしなかったのは、優姫も私も、同じ想いを抱いていたからのはず。でもそれも・・・今日で最後だ。

「NO NAME様、そろそろ準備を」

「・・・うん、」

琉生にずっと従っていたヴァンパイアの一人、富豪蓮斗が中々部屋から出ていかないので、しかめっ面を向ければくすりと笑って部屋から出ていこうとする

「ほんと、なに」

「いーえ、なんでもないですよ」

蓮斗はくすくすと笑いながら部屋の扉を締めたのでほんとにわからない。まあ、いい。彼は一番琉生に信用されているヴァンパイアで、彼の一族もよく私の一家に尽くしてくれたと聞いている。また何人か女性のヴァンパイアが入ってきて、綺麗なドレスを着せてくれる。向かうのは、久しぶりの夜会。














ヴァンパイアもハンターも何人もいる、なんだか気持ち悪い。他の純血種の気配もする、いつまでたっても慣れそうにない感覚に私の手を支える琉生に少しもたれれば、琉生が何かを見つけたように口を開く

「いたよ、玖蘭優姫。もうお披露目は終わったようだ」

大きな力の気配の隣にもう一つの気配、純血種らしくない気配を纏った優姫の姿。階段の上から眺めていれば、全然変わっていない、髪が伸びて少し大人びたけれど、懐かしい感覚が溢れて、笑が溢れた。その様子を見ていた琉生もくすりと笑うと歩みをまた再開した。

「ここからは愛想勝負だよ、NO NAME」

「誰と勝負するの・・・、」

「従姉妹同士で」

「やだ、絶対。優姫の方が数倍綺麗で可愛い。ああ、妹にしたいなあ」

従姉妹同士だけれど、妹という立場だったらもっともっと可愛がれる。階段をコツン、コツンと降りていくと、会場のほぼ、と言ったほうがいいだろうか。その目線がこちらへと向いて、途端にひざまつく。

「僕にとって君が一番だよ」

膝末くヴァンパイアを見下ろしながら琉生の言葉を思い出した。どんなやつも、鼻で笑うぐらいの態度でいいよ、なんていうから少し笑ってしまったけれど、この人たちは本当の忠誠心なんて向けてない

「玖蘭の双子様。なんて美しいお二人でしょうか」

一人の男性のヴァンパイアの声に視線を向ければ、男は目を見開いた同時に、顔をまた下げた。

「美しい、まるで琉奈様の生き写しのようだ・・・琉生様はよくお父様に似てらっしゃる」

ふっと笑顔を向ければ、周りの雰囲気が変わったような気がした。わらわらと近づいてくる人たちに色々なことを聞かれるが、全て琉生が簡単に済ませてしまった。

コツンと二つの足音が聞こえると、その足音の持ち主の道を開けるように開いた人々、その先に見えたのは優姫と玖蘭枢だった。彼は妖美な微笑みを向けると、

「少し懐かしい身内と話がしたいんだ、いいかな」

はい、と返事をして人々は離れていくと、玖蘭枢達が近づいてきた。優姫の表情はあの人々に向けていた表情を崩さないまま、近づいてくる。

「会議ぶりですね」

「ああ、そうだね。NO NAMEとは、久しぶりだね」

「そうですね」

全て知っていたのだ、この男は。真意が全然わからないから、怖い。にこやかに笑えば、優姫に視線を向けた。

「元気そうで良かった優姫。色々なことがあって、状況がつかめないのは私も同じだから」

「NO NAME、良かった・・・また会えて」

あの時出て行った理由も優姫は気がつているだろう、全てを玖蘭枢に教えられているはずだから。










時の過ぎ去り

   

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