2/3 そして季節は、過ぎ去っていった 二年後 ぼんやりと雨の振っている外の景色を眺めながら私は瞳を閉じた。鼻をつく雨の匂いを感じながら、手元にあった書物を開いた。勉強も純血種として怠ってはいけない、玖蘭の双子の存在は明かされてはいなかったが、その存在は玖蘭の姫の存在と共に明かされることになった。 「・・・優姫」 懐かしい、彼女の名前。私を助けてくれた、あの子の笑顔、温もり。全て覚えている、あの甘い、血までも。私たちには血縁上のつながりがあったのだ、彼女もまた玖蘭の純血種、あの時気づかなかったこととは、私たちは従姉妹同士だったということ。私の両親の兄妹である彼女の両親もまた、あの事件で死んだ。自害された、と言われていたが、殺されたと言ったほうが正しい。 「こんなに近くの存在だったんだね」 嫌いだった玖蘭枢が兄である優姫。あの二人が従姉妹同士だというのに、私はずっと知りもしなかった、琉生に出会うまでは。 するりと伸びた髪に触れられた感覚を感じれば、くすりと笑う声が聞こえてきた。振り向かなくても分かる琉生の気配に、振り向けば自分より背の高い琉生の姿を見上げて眉を寄せた、それに疑問を抱いた琉生は、なに・・・?と顔を傾けて見せたので、二年感で伸びたクセのある茶髪の髪を触ってあげた。 「伸びてる」 髪の具合が玖蘭枢に似ている、気づいた琉生は唇だけ緩めると私の頬に触れた。冷たくて、温かい手 「どうしてほしい?」 彼の白い首元に手を差しのばすと、白い牙が彼の肌に触れる。欲求、欲求、決して満たされることはない。ブツリ、と音がすると口の中に甘いものが広がった。 「・・・切って、」 奥底で呼んでいる [しおりを挟む] |