3/3 「!」 蘇ったあの記憶に、全身が震える。どうして今まで忘れていたのか、見えた支葵先輩の表情に少し苦しくなる。私は人を、傷つけてばかりだ。嫌に、なる。私のせいで家族も死んでしまった。海斗も傷つけた。 「支葵先輩、ごめんなさい」 ただ謝ることしかできない。それなのに先輩は微笑みを浮かべていて。なんで、そんな顔するんだろうと疑問をぶつけてしまいたい。私を許して欲しくなんかない。 「零、ごめんね」 舞踏祭から何日かたった今日、零の部屋に訪れた私は向かい合った零に向かって微笑んだ。眉を寄せた零に、苦笑いを浮かべる。 「約束は先伸ばして、知りたいこと、生きなきゃいけなことがあるの」 真実は、もっとたくさんある。私はあの人に会わなきゃいけないの。私の名前をなぜか知っていた、純血種の美しい、ヴァンパイア。 零の手が私の腕を捉えたが、私はその零の手を覆って、引き離した。目を見開いたまま、彼は私に問いかけた、お前は・・・、そこまで言いかけて何も言えなくなったように口ごもる。零に近づくと、零の瞳をしっかりと見る。 「でも、約束は絶対果たしてもらうから」 いつか、私が化け物になる前に、絶対に 「優姫には、心配しないでって言っておいて」 そして、学園から踏み出した 奏でる騒音と共に [しおりを挟む] |