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「あ・・・大丈夫?」

ぼんやりと目の前にうつった少女の顔、安心したように私の顔を覗き込んで微笑む。なんて優しい笑顔なんだろうと思った。

「私、貴方が起きたこと伝えてくるね」

部屋から出て行ってしまった少女、再度瞳を閉じようとしたが、気配を感じてそれを止める。半分開いた扉を開けて、部屋に入ってきた灰色の髪の青年。でも、何かが違う。ぼんやりとしか見えないけれど、微かにしか感じないけれど、彼は・・・なにか、違う。

ただ彼の瞳は普通の瞳の色ではないような気がする。彼は私を黙って見下ろして、腕を伸ばす。彼の指先が首筋に触れれば、少しそこから電流が走ったような痛みを感じる。さっきまで感じたような痛みなのに、覚えていない。彼の瞳は血に濡れているような瞳、赤くはないのにそう思う。妙な感覚、自分の中からも妙な感覚がする

彼の唇が動いて、何かを囁いた気がするけれど。耳には届かなくて


「あれ?零、まだダメだよ」

「・・・・・・ああ」

彼はゆっくりと部屋から出ていくと、戻ってきた少女の大きな瞳がまだ私を覗く。あとから部屋に入ってきた髪を結ったメガネの男の人が少女の肩を叩く

「優姫、ありがとう。僕がついてるから、見回りに行ってきてくれるかい」

その言葉に少女はすこし不安そうに頷くと、ゆっくりと部屋から出て行って扉を閉めた。部屋に残された、私とこの人、

「まだ意識がハッキリしないだろうから、もう少し寝ているといいよ」

あまりにもその時の顔が、優しくて、でもとても切なそうな顔をしていた。

ただぼんやりとする意識を手放して、瞳を閉じた。










深い、深い眠りに落ちるように

 

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