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「ぐ・・・っ・・・」

乾く、喉が乾く。痛い、腹の傷が、どんどん開いていく。そこから漏れる赤い血が自分の脳内をおかしくさせる。今、人間にあったら・・・抑えられない。路地裏まで歩いて、荒く息を吐き出した瞬間、見知った声が聞こえた。

「・・・・・・あんたの血の匂いが、充満してる」

「な、んで」

支葵先輩の姿だった、彼は静かに私を見下ろすと、私の傷に触れる。電流が流れるような痛みを感じると、崩れ落ちる私を支えた先輩。心臓がうるさい、彼の首元に見える血流を食らってしまいたい、と叫んでいる。

「離れてください・・・っ、」

「・・・・・・つべこべ言わず、俺の血を飲めばいい」

「何、言ってるんですか・・・」

先輩は自分でシャツのボタンを外すと、首元を露にさせる。そして変わらぬ瞳で私を見下ろした。

「いいから」

「いや、なのに・・・っ」

牙を使うことも、乾きを感じることも、全て嫌なのに。どうして身体はいうことを聞いてくれない、どうして疼く、心臓が跳ねる、嫌だ・・・気持ち悪い

本当にどうしようもない、化け物だ

「・・・っ・・・」

小さな先輩の息を吐く声が聞こえると、すぐに牙を抜く。自分の口元からしたたる赤い血に、自分が壊れてしまいそうだ。ドクン、ドクンと傷口に熱がこもっていくのが、わかる。肉がつなぎ合わさっていくような、気持ち悪い感覚。

「・・・・・・なんで、泣くの」

私が彼に作った傷跡がふさがっていくのを見て、瞳を細めた。頬を流れていく涙が、落ちる前に先輩が手ですくう。

「・・・・・・っ、ごめん、なさい」

「謝んなくていい、俺がそうしてほしいと思っただけだから」

どうして、先輩がそんなこというのかわからなかったけれど、今はそんなこときにしている場合じゃなかった。どうしようもない私の思いが、消えない。

「泣かれると、面倒」

涙を拭うけれど、またこぼれ落ちてくる。私には泣く権利なんかないのに

「・・・どうして、面倒なのかわかる?」

その言葉に顔をあげたとき、唇が塞がった。柔らかい感触、に塞がれているものがなんなのかすぐに分かる














反射する光の雫

 

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