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美しい、美しいヴァンパイア。私を変えて、家族を殺した、憎いはずのヴァンパイア

彼のことだけはよく、覚えていた。

「・・・ねえ、聞いてる?」

飛びかけた意識を元に戻して、目の前の紅まり亜を見つめる。

「・・・ハンターさんは、その純血種が誰なのか、特定できていないけれど・・・私は知ってるの」

「・・・誰なんですか」

知って、どうする?血を貰いに行くのか、貰えるはずがない。殺されて終わる。そもそも私は、望んでいるのだろうか、私は・・・、

「・・・貴方の血をくれたら、教えてあげてもいいわよ・・・?」

なるほど、さすがはヴァンパイアだ。やっぱりそうゆう条件でくるのか、

「学園内での吸血行為は禁じられています」

「そんなの、関係ない・・・でしょう?・・・来て」

目と目が交差したとき。心臓を縛り付けられたような気分になった。一歩、右足が前に出れば、左足も動き出す。どうしてだろう、彼女に私は血を・・・捧げなくては、

「・・・・・・似ている、」

彼女の腕の中に収まったとき、耳元に聞こえた声に瞳を見開いた。玖蘭枢も同じようなことを言っていた気がする。

「・・・紅、授業中だと思うんだけど」

その声に。こわばっていた体から力が抜けた。

「・・・ふふ、いけない、ごめんなさい。すぐに戻りますから・・・じゃあ、またね」

去っていく紅まり亜を眺めながら、その様子を見ていた・・・ええと、アイドル・・・

「たしかアイドル先輩、」

「藍堂だ!・・・・・・お前もハンターならヴァンパイアに簡単に捕まるな」

なんで知っているのだろうと思いつつ、私から感じるハンターの武器の気配にすぐに納得した。

「ハンターていっても、なんにもできませんけどね」

「・・・確かにお前みたいな弱そうなハンターは初めてだ」

「・・・はい」

自分は本当にハンターの血筋か?と思える程に、自分は何もできない。記憶がなくても身体が覚えてるとは思ったのに、藍堂先輩は少し私を眺めて瞳を細める

「・・・じゃあ僕も授業に戻る」

「お気を付けて」

その背中を見送って、また夜空を見上げた。

純血種の血・・・彼の、血。

どうして、純血種ともあろう彼が・・・家族を襲ったり、したのだろう。



「・・・っ」

襲ってくる飢えに顔を歪ませれば、息を吐き捨てた





積もるのは疑問ばかり

 

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