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「っ・・・」

重たい瞼を開ければ、見えたのは青空で。あれ、なにしてたんだっけと軽い考えが浮かんだが、すぐに自分は狩りの途中だったことに気づく。そして視界に入ってきた支葵先輩の顔に思わず小さく声を出してしまった。

「あ、起きた」

素早く起き上がれば、自分がベンチに横たわっていたことに気づく。気を失ったのか、先輩がヴァンパイアを灰にしてからの記憶がない。とりあえず、自分をこのベンチまで運んでくれた先輩に頭を下げる

「ご迷惑、おかけしました」

「・・・それはいいけど、ハンターには・・・向いてないんじゃない・・・?」

「・・・まあ、そうなんだと思います」

狂双剣は私には合わないし、ハンター武器がヴァンパイアを受け入れてくれるはずもない。・・・でも、一瞬見えたあの映像では、私は確かにこの双剣を握っていた。でもそれは多分・・・人間だった頃の、話し。

「なんだか・・・人間だった頃が遠い過去みたい、なんです」

「・・・ふうん、」

表情を変えずに支葵先輩は小さく喉を鳴らした。

「先輩って、笑ったりするんですか?」

失礼な質問だと思うが、気になった。先輩はなんだが、もっと表情を持っていると思って、でも一つの表情しかあまり浮かべない彼に、すこし疑問を持って。

「いえ、そうゆうことが言いたいんじゃなくて・・・なんだか、」

そうゆう性格の人だと思えば不思議はない。だが、そうゆうんじゃない。決められたことに従って動いているような、そんな感覚。

「すいません、なんでもないです」

支葵先輩の表情はやはり変わらず、私を眺めては顔を少し傾けた

「俺は、笑うよ・・・?」

「あー・・・はい。ですよね」

そうゆうことではないのだ。うまく言えないから説明はできないけれど。先輩の目線が私ではなく、その後ろを見ていることに気づくと誰かが近づいてくる気配を感じる。見知った気配、どこか禍々しいような零の気配だった。

「零」

やはり零がいた。なんでここにいるんだろう、と言われる前に、腕を引っ張られ立たされると、じーっと見下ろされる。その目線が痛すぎて、小さく顔を歪めれば、零の声が聞こえた。

「ヴァンパイアは・・・、」

「もう終わった、支葵先輩が倒してくれたけど・・・、」

「なら、もう帰るぞ」

ぐい、と手を引かれれば、先輩の方に視線を向けて再度頭を下げた

「あの、ありがとうございました・・・」














歌えない歌詞

   

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