2/3 「あ」 「・・・・・・あ、」 街に出て、感じたヴァンパイアの気配を追って、たどり着いた廃墟にもうひとりのヴァンパイアがいた。支葵先輩。 「また競争だ、今日は莉磨はいないけど」 「・・・また?」 「先週も、あの風紀委員達と」 零、と優姫・・・も?まあ、いいとしよう。息を吐き出すと、感じたヴァンパイアの気配に、後ろを振り返るとそこには一人の女性の姿があった。ゆらり、女性は私と支葵先輩を見ると、にこやかに笑った。 「・・・しまった。私この武器の使い方知らない、しかも女性相手に無理かもしれない」 「・・・何言ってんの?っていうかハンターだったんだ」 「らしいですね」 最初にこの双剣を掴んだときも思ったけれど、やっぱり今も思う。ビリビリとした感覚が手のひらに伝わって、神経が麻痺しそうだ。ヴァンパイアがハンターの武器持つっていうことはこうゆうことなんだろう。零は使いこなしてるのに。 「なんかビリビリしてるように見えるけど・・・痛くないの・・・?」 「痛いですよ、でも・・・慣れなきゃいけないんです」 ・・・慣れる?その言葉にすこし不快感を覚えた。 「私を殺しにきたのかしら?」 「・・・、」 「ふふ・・・貴方、なんだか美味しそう」 ヴァンパイアの目とばちりと合うと、にやりと笑われる。双剣を握って、とりあえず構えてみれば、支葵先輩に腕を掴まれて、ぐいっと後ろにひかれた。前に出た支葵先輩は親指を噛むと、うっすらと血の香りがした。そして先輩の血が変形すると、その血はヴァンパイを囲んだが、それを逃れたヴァンパイアの気配は自分のすぐ後ろにあった。 「ふふ、」 首元に感じたヴァンパイアの吐息、事前と双剣の持ち方を変えて、後ろにいるヴァンパイアめがけて振り下ろしたが、やはり当たらない。後ろに下がったヴァンパイアは不快な笑みを浮かべている。でも、なんだか違う、さっきより双剣の使い方がわかってきたような。その時、頭に浮かんだ映像に。思わず身体を崩した。 電流が身体中に流れた時みたいな痛み 私が持っていたのはあの双剣で、目の前には笑う、誰か達 その人たちは暖かくて、優しくて なんだろうね、この感覚は。 「・・・っ」 私の身体を支えていたのは、支葵先輩の腕で、瞳を見開くと。支葵先輩の瞳がこちらに向いた。自分で立とうとしても、足には力が入らなくて。 「面倒・・・」 支葵先輩は私を担ぎ上げると、視界は反転した。 「ちょ・・・」 私の声も聞かないで、支葵先輩は右腕を差し出した。 「・・・その弱いハンターさん、くれないかしら」 「・・・・・・この人の血、変な味がするからやめておいたほうがいいよ」 そして大きな音と共に、ヴァンパイアは灰になった。 揺れる記憶のような [しおりを挟む] |