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「あ」

「・・・・・・あ、」

街に出て、感じたヴァンパイアの気配を追って、たどり着いた廃墟にもうひとりのヴァンパイアがいた。支葵先輩。

「また競争だ、今日は莉磨はいないけど」

「・・・また?」

「先週も、あの風紀委員達と」

零、と優姫・・・も?まあ、いいとしよう。息を吐き出すと、感じたヴァンパイアの気配に、後ろを振り返るとそこには一人の女性の姿があった。ゆらり、女性は私と支葵先輩を見ると、にこやかに笑った。

「・・・しまった。私この武器の使い方知らない、しかも女性相手に無理かもしれない」

「・・・何言ってんの?っていうかハンターだったんだ」

「らしいですね」

最初にこの双剣を掴んだときも思ったけれど、やっぱり今も思う。ビリビリとした感覚が手のひらに伝わって、神経が麻痺しそうだ。ヴァンパイアがハンターの武器持つっていうことはこうゆうことなんだろう。零は使いこなしてるのに。

「なんかビリビリしてるように見えるけど・・・痛くないの・・・?」

「痛いですよ、でも・・・慣れなきゃいけないんです」

・・・慣れる?その言葉にすこし不快感を覚えた。

「私を殺しにきたのかしら?」

「・・・、」

「ふふ・・・貴方、なんだか美味しそう」

ヴァンパイアの目とばちりと合うと、にやりと笑われる。双剣を握って、とりあえず構えてみれば、支葵先輩に腕を掴まれて、ぐいっと後ろにひかれた。前に出た支葵先輩は親指を噛むと、うっすらと血の香りがした。そして先輩の血が変形すると、その血はヴァンパイを囲んだが、それを逃れたヴァンパイアの気配は自分のすぐ後ろにあった。

「ふふ、」

首元に感じたヴァンパイアの吐息、事前と双剣の持ち方を変えて、後ろにいるヴァンパイアめがけて振り下ろしたが、やはり当たらない。後ろに下がったヴァンパイアは不快な笑みを浮かべている。でも、なんだか違う、さっきより双剣の使い方がわかってきたような。その時、頭に浮かんだ映像に。思わず身体を崩した。



電流が身体中に流れた時みたいな痛み




私が持っていたのはあの双剣で、目の前には笑う、誰か達

その人たちは暖かくて、優しくて



なんだろうね、この感覚は。




「・・・っ」

私の身体を支えていたのは、支葵先輩の腕で、瞳を見開くと。支葵先輩の瞳がこちらに向いた。自分で立とうとしても、足には力が入らなくて。

「面倒・・・」

支葵先輩は私を担ぎ上げると、視界は反転した。

「ちょ・・・」

私の声も聞かないで、支葵先輩は右腕を差し出した。

「・・・その弱いハンターさん、くれないかしら」

「・・・・・・この人の血、変な味がするからやめておいたほうがいいよ」

そして大きな音と共に、ヴァンパイアは灰になった。










揺れる記憶のような

 

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