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「こんばんは」

「・・・・・・こんばんは、」

理事長宅のお風呂から出てきたところに、目の前に現れた人物に少し驚く。嫌な気配はこの人か・・・。瞳を細めれば、玖蘭枢は妖美な笑顔を浮かべて、薄い唇を開く。

「理事長に話があって来ただけだよ」

「そう、ですか・・・」

ならさっさと目の前から消えて欲しい。この人はなんだか怖い。純血種は他のヴァンパイアとはレベル違うだからだろうけど、違う感覚がする。誰かに似ているような、そんな気がする。私が恐る誰かとは・・・一体誰。

「君は錐生君とは違うね・・・」

その言葉に眉を寄せた。違う・・・?

「自分を変えたヴァンパイアのこと・・・憎くないの・・・?」

すっと伸びてきた手が私の首元に触れる。ドクン、ドクンと心臓の脈打つ音が聞こえてきた、身体中がざわめく。このまま首を掻っ切られるかもしれない恐怖ばかりが、頭の中に浮かぶ。そんな恐怖の色に顔を染める私を見て、玖蘭枢が手を離した。

「安心して、君を殺したりなんかしないよ」

「・・・・・・、」

「それでも僕のことが怖い・・・?僕が純血種だから・・・ではない、君はわかっているはず」

何を、なんで。本当に全部見透かされている、逆に嫌になる。どうして玖蘭枢は自分の目の前にいる。

「君が恐怖を覚える相手は誰、だろうね・・・・・・」

「そんなの知りませんよ、」

知らない、知らない、自分には関係なにのに。怖くて堪らない。全身が真っ赤に染まりそうだ、血で溢れかえりそうだ。気持ち悪い。

「理事長は、あっちの部屋にいます」

それだけ言って、玖蘭枢の横を通り過ぎると、小さな声が聞こえてきた。それは鼓膜を揺らすと、私の瞳を見開く。

「君はよく、似ているね・・・」











アイスブルーが揺れる

   

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