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「NO NAMEは編入生なのにしっかり勉強についてきているわよ」

「だって・・・、まったくわからないんだもん」

隣で笑う優姫と優姫の紹介で友達になった頼ちゃん、可愛らしい子だ。冷静で頭がよくて、優姫の良き理解者だと言っていた。確かにそう思う、

「NO NAMEはもうこの学園にはなれた?いきなり風紀委員なんて大変よね」

「うん、まぁ最初は戸惑ったけど、今は平気だよ」

それにふっと笑った頼ちゃんに微笑みを返すと、鐘の音が聞こえてきて、一斉にみんなは立ち上がって、教室を後にしていく。私も同じように立ち上がると、優姫も立ち上がる

「じゃあお仕事がんばって、二人とも」

「うん!」

私も頷けば、優姫と共にナイトクラスとディクラスの入れ替わりのために、外へ向かった。夜に旋回するのはいいのだが、この入れ替わりのときの警備はあまり好きではない。黄色い声援が鼓膜を揺らすし、嫌な気配を放つヴァンパイアばかりが横を通り過ぎる。

「きゃー!!!!」

今日も絶好調の女子達に、思わず乾いた笑みが溢れる。なんで飽きないんだろう、と思いながらも、一応彼女たちを抑えていると、女子たちのざわめきが大きくなった。なんだと顔をあげれば、目の前にたっていたヴァンパイア。それは茶髪を揺らしたあの時のヴァンパイアだった。

「・・・支葵どうしたの?」

隣でえらく可愛い子が支葵と呼んだ。そして後ろの女子から支葵千里先輩だわ。と声が聞こえ始める。支葵千里、どこかで聞いたようなことのある名前のような気がする。

「なにか用でしょうか・・・」

ないんだったらとっとと行ってください。と言えば、支葵先輩はゴソゴソと制服の中から小さな箱を取り出す。それはチョコとかかれたお菓子の箱だった。それがなんの意味をあらわすのかよく分からず、しばらく眺めていれば、支葵先輩の声が聞こえた。

「この前のお礼」

「・・・あ、それは・・・どうも」

「ああ、支葵がお菓子もらった人」

「うん」

可愛らしいツインテールのヴァンパイアが私を眺めれば、ふうん、と喉を鳴らす。彼女だろうか、二人が一緒にいる姿はとてもよく似合う。

「じゃあ」

支葵先輩は特に表情を変えることもなく、お菓子を渡して可愛らしいヴァンパイアと歩いて行ってしまった。受け取ったお菓子を眺めれば、すこし小腹がすいてきた。だがそれ以上にさっきから突き刺さる目線が・・・

「ちょっと!そのお菓子!!」

「本当に風紀委員が羨ましいわ!!そのお菓子渡しなさい!!」

「え、えー・・・」

「あまり風紀委員さんを困らせないであげて」

柔らかく、静かに聞こえた声が誰のものかなんてすぐにわかった。騒ぎ出した女子の声がしん、と静まり返ると、その頬はみんな赤くなっていく。ゆっくりと振り向けば、やはりそこには予想通りの人がいて。

「じゃあ頑張って」

またくすりと笑うと、横を通り過ぎていく。その後ろを歩く、くせっ毛の髪のヴァンパイアと綺麗なヴァンパイアの視線が突き刺さる。息を吐き出せば、瞳を閉じた。妖美な笑顔を浮かべた玖蘭枢に違和感を覚えてならない。決して近づきたくはない相手だ。









気持ち悪い旋律

 

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