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「アイドル先輩ーっ!!!」

きゃあきゃあと黄色い声援をあげる女子達の群れを抑えながら、ナイトクラスの扉が開くのを待つ。ヴァンパイア達を見張るより、本職はこの人間たちを収めることではないかと思ってしまう。多分、こっちのほうが最優先だ。淡い想いばかりが周りで騒ぎ回っていて、少し呆れてしまう。そんなにヴァンパイアが好きなのか、人間たちは彼らがヴァンパイアだと知らないが、彼らの容姿は端麗で美しいと聞いているから。

「ちょっと編入生!どいてよ!!」

「そうよ!なんで編入生が風紀員なのよ!でしゃばらないで!」

全然、でしゃばってませんし。強制だったもので。とは言えず、何も答えないまま、黙って女子達を見つめる。可愛らしいとおもう、ここまで想う人に素直な気持ちを伝える彼女たち。自分にはとうていできそうにない。

その時、ナイトクラスの扉がゆっくりと開いた。

次々と横を流れていくヴァンパイア達、黄色い声援がこだまする。だが鼓膜には何も届いていない、近くに感じるヴァンパイア達の気配、横を通り過ぎるたびに彼らの視線は私を捕らえる。わかっている、彼らは私がまがい物の存在であって、化け物だと。静かに彼らを眺めていれば、心臓が止まったように動かなくなった。視界に入ったのは美しいヴァンパイア。彼は私に視線を向けると、立ち止まって、小さく笑う。

「・・・君は、新しい風紀委員かな」

「・・・・・・はい。初めまして」

彼が純血種。私を変えた者と同類。確かに似ている、気配が似ているけれど、違う。息が、できなくなりそうだ。気分が悪い、気持ち悪い。

「よろしくね」

その言葉に、小さく顔を歪めた







揺れる意思とは一体

   

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