■ 0101



「おい、テメーふざけんな」

「なにがー?私のだったでしょ」

「いーや、俺のだったね」

「母さんは私の分っていってた!!」

目の前に仁王立ちして、眉間にしわを寄せて、ヤンキーに喧嘩うるかのような面構えの片割れの弟、冬馬

同じようににらみ返して、鼻で笑ってやる

「俺のプリン返せよ!!!!」

「だから私のだってば!」

手に持っているプリンを絶対に渡したりなんかしない。

だって本当に母さんは私の分っていってたもん。

「返せ!」

プリンを引っ張る冬馬に負けないように自身の力をプリンにかける

「っあ!!!」

お互い同時に手が滑り、プリンが宙に舞った。

まるでスローモーションで世界が動いているような感覚、ゆっくりと地面に落ちていくプリン、

床に落ちた瞬間に目の前が真っ暗になる

ちょっと!電気切ったのだれ?!と叫びたくなったが、変な浮遊感に覆われ声がでなくなった。

ジェットコースターにでも乗っているような感覚、やがて真っ暗な闇から世界は青色に変わる。

視界に移ったのは、真下にあるお城のような建物、そしてここは

「な、なんで空飛んでるのっ?!」

「違う!落ちてるんだよ!!!!」

横から聞こえた声に視線を向ければそこには冬馬の姿が、同じように空中にいる

「は?!落ちてるー?!」

飛んでいることよりよっぽど大事だ、瞳を思わず閉じてしまう

神様、助けて。なんでこんなことになっているのか分かりません。

プリンが怒ったのかもしれません。

「おい!」

「なに?!」

「目、閉じるな!」

「だって怖い…っ」

その瞬間に冬馬の手が肩に回って空中で私を引き寄せた。

ウザイけど、今自分の中にあるのは恐怖感、何も言えずにその腕の中に収まった

「どう、すんの?!」

「さぁ…」

「やめてよそうゆうの!」

「どうもできないし」

「ぎゃー!!!プリン様ごめんなさいいいいッ!!!!!」

声が枯れそうになるぐらい叫ぶと、だんだん近づいてくる地面、

その瞬間、冬馬の手が私の手を握る。握り返して瞳を閉じた。



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