■ 0401
「どうだNO NAME、冬馬は」
「…何も言いたくないです」
その言葉に王様は笑顔を見せると、NO NAMEの膨らんだ頬をつついた。
痛い、てか目の前でシャルルカンさんと剣を交えている冬馬を見てはイライラと腹立たしくなる。
長い剣を持ちながら、慣れているように剣を使いこなす冬馬。
私は魔法
冬馬は剣術
とそれぞれに素質があると言われたが。
いまだ、魔法を使えない私を王様が息抜きに、ここへ連れてきてくれた。
息抜きどころか、私より全然前に進んでいる冬馬に腹立たしさしか感じない。
「お、NO NAMEにシンドバットさん」
「アリババ君、頑張ってるかい?」
「はいっ、でも中々アモンをこの剣に移すことができなくて」
「アモン…?」
アリババに疑問そうな顔をしたNO NAME、アリババは笑顔を見せると持っていた剣を見せてくれた。
「俺のジンがアモンなんだ、」
「ジン?」
「「ジンの金属器」っていう道具に封印されている精霊で、持ち主に大きな力を与えてくれる。それは迷宮を攻略した者のみしか与えられないんだ、迷宮は攻略したら消えてしまう、そこは攻略するまででられないから、今まで多くの死者を出している」
シンドバットの説明にNO NAMEは唖然すると、アリババも頷いて、大変だったなあ、と囁く
「すごいね!アリババ!!」
「いやぁーわけあってその金属器が壊れちゃってさぁー今、この剣にアモンを移し替えようとしてるんだよ」
「壊れるの?!」
俺も驚いた、と苦笑いしたアリババ。みんなすごいなぁ…
迷宮ってたくさんあるらしいし、全然攻略されてないらしいし。
いやー、たまげた。魔法意外にもすごい力があるんだ。
「冬馬はどうだ?アリババ君」
「すごいっすよ!見たことない太刀筋だし、本物の剣を持つのは初めてっていうのに、俺と師匠に全然劣りませんし!」
「いやぁーJAPANESEスタイルなのよ、あの太刀筋」
「「じゃ、じゃぱにーす…スタイル…?」」
「あ、私の生まれた国の太刀筋スタイル?うちの家、剣術の道場でさ…だからかな」
代々剣術を受け継いできた家庭で、私も冬馬も無理やりやらされていたけど
いつも木刀だったし、本物の剣をもったら冬馬だってビビると思ったのに…。
「なんだ、NO NAMEも剣術できるってことじゃないか」
NO NAMEの背中が跳ね上がると、背後に立っていたのはシャルルカンさん。
嬉しそうな微笑みを浮かべると、傍にあった剣を渡される
「なんですか…?」
「ほらっ、やってみて」
「嫌ですよ!私魔法らしいんで!」
「大丈夫、大丈夫!じゃあ冬馬と戦ってみろよ!」
「なおさら嫌ですわ!」
近寄ってきた冬馬が息を吐き出すと、首を横に傾けて、いつもの平然面で口を開く
「なんだ、怖いの?」
「はぁぁっ?怖くないし、お前こそ怖いんじゃない?」
「俺は別に、お前なんかより強いし」
「ふふふうふん!やってやろうじゃないかあああ!!!!!」
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