■ 0201
「つまり、こことは違う世界からきたと」
「そう、予想します」
王様、シンドバットさんに向かい合って私達は自分たちにおこったことを全て話した
ここは私たちの知らない世界に等しかった。武器や魔法が存在する世界。武器はわからなくもないが、魔法は次元を超えている。
「なるほど」
少し考え込むようにしてシンドバットさんはうーんと唸る。
ドクン、ドクンと胸が鳴る、この人の選択次第で私たちの運命は決まるのだ。
冷や汗をかいている私に比べて、しらっとしている冬馬になんだか頭の底から怒りの想いが湧いてくる
こっちは、ひやひやしてるっていうのに…。
そろっと左足を冬馬の足の近くに忍ばせると、シンドバットさんに見えないようにおもいっきり踏んずけてやる
「ッ………テメ、」
冬馬の瞳が細くなると、私を睨みつける。
「…少しは緊張感ってもんを感じなさいよ!」
小声で言えば、感じてるわ、とでも言っているような冬馬の顔が返ってくる
「感じてないね、お前の面に一発いれないと感じないのかな」
「はぁ?無理だね、お前の拳なんて軽く交わしてやるわ」
「いい度胸じゃない!!!やってやろうかあァ?」
「かかってこいよ、チビ!」
「うるさいな!チビで何が悪いのさ!!!ハゲェ!」
「はッ…俺、ハゲてませんが」
プツリ、と何かが切れる音がしたと同時に殴りかかってやろとしたが、その瞬間部屋の中に笑い声が響きわたる
「はははっ!!面白いなお前たちは!!」
産まれてから双子だ、双子と言われ続けてきたが、私達はまったく似てないし、性格だって真反対、喧嘩は毎日。
分かりあったことなんて一度もない。私たちが面白いはずもない。
シンドバットさんは腹を抱えて、まだ笑い続けている。
その両脇にいる男の人も微笑する、反対側の無表情の人は無情情のままだけど
「あんたのせいだかんね」
「……お前だろ、完全に」
「まぁまぁ別に捕って食ったりしないさ!お前たちはここにいるがいい」
シンドバットさんの言葉に目を丸くする、思わず息が漏れてしまった。
「いいんですか…?」
「ああ、ここはそうゆう者達を受け入れて、みんなで支え合って生きている国なんだ」
それは、すごくいい国だなあ、なんて感心する。
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