■ 0503
「NO NAME!!!NO NAMEっ!!!!」
腹のそこからNO NAMEの名前を叫んだが、返事がない
聞こえなくなった頭に響く甲高い悲鳴、頭の中で悪い想像ばかりが空回って汗が地面に落ちた。
「強さを求めるものよ、前へでろ」
「!」
扉の向こう側に立っている、一人の男の姿
冬馬の瞳が細くなると、低い声がまた放たれる
「お前だろう、この部屋に入ろうとしたのは」
金色の髪に、左目に眼帯をつけた、金色の瞳の若い男。
「NO NAMEはどこだ、教えろ」
「・・・強さを求めるなら、あの娘は要らない」
冬馬の黒い瞳の瞳孔がゆっくりと開いた
「いいから、教えろ」
「・・・・・・強さは要らないか、あの娘の方が大事か?」
「教えろ!!!」
冬馬の長い剣が男に向けられる、男の唇は釣りあがると、小さく唇が開く
「・・・教えられないな」
冬馬の瞳が更に細くなると、冬馬は剣を収めて、NO NAMEが落ちていった穴の方へ歩く
高さなどわからない、深く、暗い穴。
冬馬はそれに飛び込んだ。
飛び込んでいった冬馬の姿を見て、小さく笑う男
「王になるのは、誰かな」
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