■ 0402




「ああ、もっと冷静になれば良かった…」

剣を持ちながら構える、目の前に立つ冬馬に睨みをきかせれば、剣をもう一度持ち直した

重い…とてつもなく重い

木刀とかと比べ物にならん。か弱い乙女にこんなものもたせるなんて…

「やめたっていいよ」

「うるさい、やるわボケ」

ふっと冬馬は笑うと、剣を振り上げる。

読める、大丈夫。道場での稽古の時だって、私そんなに弱くなかったし

冬馬の剣を受け止めて、自分の剣を踏み込ませようとしたが中々入らない

どんどんを突かれる冬馬の剣に自分は下がっていくばかりで

その瞬間、唇のつり上がった冬馬の唇が見える。

イライライライライライライラ

「くそおおおぉっ!!!!!」

剣を大きく振り上げて冬馬に向けるが、やはりそれを受け止められてしまう

だが、平然としていた冬馬の瞳が大きく見開いた

「おも…っ…!!」

重い?

どんどん冬馬の足が曲がっていく、これなら行ける!

「お前にだけは…負けたくねぇんだよっ!」

「いぎゃっ」

全体重をのせたせいか、押し戻されて身体が後ろに倒れていく

ああ、地面に倒れ込むのが予想できる…あの冬馬に負けたんだ……最悪だ…もうやだ…

倒れると思っていたが、身体が後ろから押し戻されていく

「NO NAME!良かったじゃないか!」

王様だ、後ろから笑顔を浮かべて自分を眺めるから、不可解な瞳を向けると

「魔法だよ!使えたじゃないか!」

「いつですか?!私使った覚えないですけど」

「最後のアレだろ」

冬馬の言葉で、あの時冬馬は口にしていた「重い」がよみがえる

「あ、あれが?」

「あれは重力操作の魔法だ、他にもたくさん使い道があるし、NO NAMEならもっと色々な魔法が使えると思うぞ?」

「や、やたああぁっ!!!!!」

[ prev / next ]

back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -