■ 0303



「あれ、NO NAMEじゃないかい?!」

「……違いますよ、私はNO NAMEなんかじゃないです」

「なんでそんな暗い所にいるんだい!もっとこっちにおいでよ!君を探してたんだよ!」

せっかく目立たないようにここにいたのに…アラジンが手を引っ張って、明るいところにNO NAMEを連れてくる

「アリババ君に君を紹介しようと………、」

乗り気じゃないふうにゆっくりと顔をあげると、やけにキラキラした顔をアラジンが目の前にいる

「どうしたの?」

「NO NAME!きれいだねえええぇっ」

「えぇっ…」

「本当だよ!!アリババ君にも見せてあげなきゃ!」

「見せなくていいわ!ひ、ひっぱるなああっ」

アラジンに無理やり引っ張られながら、走り出す。

横切る人ほとんどがこっちを見ていたような気がする、本当に恥ずかしい

こんな惨めな姿誰にも見せたくなかったのに

もっと露出の少ない服を用意してもらったはずなのに、胸の周りは変わらず、下だけ白いスカートでマシになったようなものだが、腰に花かざりや、髪なのど飾りが派手で

自分的にも青ざめてしまった。こんな目立つ格好はしたくないのに、無理やりといっていいほど女性達はあれやこれやしてくれた。

まぁ…感謝はしているけども。

「アリババくーん!」

アラジンのいうアリババという人はあそこにいる金髪の青年らしい、イケメンかなぁ

なんて思っているとその横に座っている男に目線がいく、黒髪で見知った姿がそこにはあった

いやだ!絶対行きたくない!!!なんて思っていたが、もう遅く、アラジンの声にそのアリババという人も、冬馬も気づいて、こちらを見ていた。

「NO NAMEだよ!可愛いでしょう!綺麗でしょう!」

まるで自分のことのように自慢するアラジンだったが、申し訳ない。

お世辞でも彼には感謝しなくては。

「あの…NO NAMEです、よろしくお願いします。」

顔を上げて、笑うと、アリババ君と呼ばれている彼は目を見開いたまま、こちらを呆然と眺めていた

「…?」

「あっ、いやっ…あ、ああ、アリババです、よろしくっ!!」

「アリババ君顔真っ赤だよ〜?」

「余計なこというなよアラジン!!」

「えと、アリババさん」

多分年上だと思うので、敬語で話すことにしよう。

「アリババでいいよ!敬語もなし!」

「あ、ありがとうアリババっ」

なんと親しみやすい人なんだ!笑顔で頷くと照れくさそうにアリババは顔を緩めた。

なんだ、可愛い人だなアリババって

「あ、NO NAME!こんなところに!って可愛いじゃなあぁい!」

「ヤムライハさん…声でかいですよ」

恥ずかしい、本当に恥ずかしい。

「ピスティに紹介しろって言われてるのよね!さぁ行きましょう!」

「…はい」

ああ、気が乗らん。

「冬馬!双子っていうけど似てないな」

笑い混じりに聞こえた冬馬に話しかけるアリババの声、

冬馬の目線と交差したが、すぐに冬馬はアリババに目線を向けた。

いや、あんなやつ似てなくてよかったよ…





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