俺らの時代 | ナノ



1/4


NO NAMEは横たわっていた。

遠くで響いているような、近くて響いているような救急車の音、ぼやけた視界に映る曇天の空。

うっすらと落ちてきたのは冷たいはずの雨、なのに冷たいと感じない。

息をしているはずなのに、声を出そうとしても、声がでない。


人の声が聞こえる、騒ぐような、悲鳴をあげるような声が。

そんな声が聞きたいんじゃない、私は、あの大きなグラウンドで、

たくさんの人が選手達を声援する声が聞きたい。

その中で、私は、走って、汗をかいて、ボールを投げて、あのミットの音が聞きたい。

そんなNO NAMEの願いも虚しく、NO NAMEはゆっくりと瞳を閉じた。

腹部から流れ出る赤い血を、雨は濡らしながら、ゆっくりと広げていく。









I want to

Baseball with them


(彼らと一緒に野球がしたい) 最後の彼女の願いと共に、心臓は止まった



0101

   

[しおりを挟む]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -