俺らの時代 | ナノ



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「……」

言葉が出なかった、気づいたら来たことのない学校の敷地内にいたNO NAME

たくさんの人が制服を身にまとって、部活を宣伝している。

そんな人の群れにまぎれながらも、言葉が出ずに、立ち止まっていた。

来たことがないのに、ここの制服も、学校もなんだか見覚えがあるようでNO NAMEは息を吸い込んだ。

「君?バスケ部どう?絶対似合うよーっ」

「…え、や…向いてないんで!」

近づいてきた三年生らしい女子に苦笑いしながら返すと、目の前の女子は目を見開いて唖然とした。

「…あの、」

なんかしただろうか、とNO NAMEは冷や汗を全身から放出したい気持ちだった。

ここの生徒ではない自分、なぜここにいるのか分からない自分、やらかしただろうか。

「わ、わかりましたっ!」

なんだか顔を赤らめてダッシュで走り抜けていった女子の背中を見つめながら息を吐いた。

とりあえずNO NAMEは人の群れから抜けると、グラウンドに向かって歩き出す。

今すぐNO NAMEは夢神に文句を言ってやりたいと思っていたが、一歩踏み出した時に身体に感じた衝撃によってその考えは打ち消された。

「だ、大丈夫?!」

「う、えっ…だ、大丈夫、だよ」

前に人いたなんて気がつかなかったと、焦りながら目の前で突き飛ばしてしまった青年の顔を覗いた。

心臓が跳ねた。

「ほんと、すい、ません!」

「……」

なんで三橋君にそっくりな青年がいるのだろうとNO NAMEは思わず首をかしげた。

「ゆ、ゆ、許してもらえない…!どうし、よう…!」

「あー!大丈夫だから!平気だよ!」

「い、良い人…!」

「三橋こそ大丈夫?」

「えっ…なんで俺の名前…」

口が滑ったが、なぜ“俺の名前”と言ったのか、NO NAMEは考えると。

目を見開いて、口を大きく開いた。

「もしかして三橋廉?」

「そ、うだよ!」

NO NAMEは思わずガッツポースをする、今ならあのウザイ夢神に笑顔でフックパンチをできる。


「どうして…、知ってたの?」

「あ…えっと…実は、不思議な力が使えるんだ……」

「ふ、不思議な力?!」

子供騙しでごめんなさいと謝りたい。

「君の、名前は…?」

「あっNO NAMEだよ」

「NO NAME君!よろ、しく!」

君…、そうか…素直な子は、胸がない女の子を男だと思ってしまうのか。

「NO NAMEでいいよ!よろしくっ!」

「う、うん!!」

三橋の笑顔を見ると、NO NAMEも思わず微笑んだ。


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