俺らの時代 | ナノ



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起きろよ、と声が聞こえた。低くいのに、妙に心地よい声は頭の中に響いて、脳内を起こす。

重たい瞼を押し上げれば、目を見開いた。

NO NAMEの立っている世界は、今まで自分がいた世界ではない、全てが白で包まれた世界

全てが無に等しい世界とも言えるような、ただ真っ白な世界。

「……ここは、どこ」

どこかの物語に入ったようなお決まりの台詞を囁いたが、後ろに気配を感じて振り向く

司会にうつったのは一人の青年の姿、普通に見れば端麗と言えるだろうその青年の顔だったが、NO NAME個人の趣味の問題で、青年の可能性は0に等しくなった。

「人の顔ジロジロ見てんな」

その言葉が気に入らなかったのか、たとえ趣味ではなくても初対面の者には優しくするという、NO NAMEのモットーは崩れ落ちる。

「あんただれ、オッサン」

「おまっ…俺、オッサンに見えるか?おい」

最後の言葉は本気で起こっているような声色だった、青年の顔にしわがよったがNO NAMEの顔はいたって普通だった。

ただこの男の印象は最悪という決定は降された。

「ま、いいや…俺心広いから」

「自分で言うなよ、さみしい奴」

「いいんだよ!ここ誰もいねぇから!」

NO NAMEはその言葉に辺を見回した、やはり誰もいない。

無限に広がっているように見えるこの世界には
NO NAMEと男しかいない。

「で…ここどこ?オッサン」

「俺はオッサンじゃない!神様だ!!夢神!覚えろクソガキ!!」

「このピッチピチな女の子をクソガキって言うの?!とんだオッサンだわ!」

「…まぁ今はツッコまないでおいてやる。」

NO NAMEは意味は分からないといった顔で、夢神を眺める。

このへんてんこな世界では彼のことを信じざるおえない、

「ここは夢次元」

「二次元じゃなくて?どうせなら二次元いきたいんだけど」

「お前さ、分かってる?二次元ぺっらぺらだよ?お前紙だからね」

「そんなこと分かってる!それでも二次元をそんなふうに言うな!!!」

NO NAMEが一番嫌いなことは二次元を否定されることだった。

『漫画なんて』『アニメなんて』『どうせ行けるわけないんだから』

分かっていた、そんなのはただの、

「妄想だ」

夢神は囁いた、NO NAMEの瞳は細まる。

「それでも、信じるの」

「なぜ?」

この男は本当に神様かもしれない、自分の胸のうちに秘めていたものが全て分かっているように、

彼は答えを求めていた。

「何を信じればいいのか、わからないから…ありもしない世界に憧れるんだろ」

「…、」

彼の言っていることが当たっているのか、それとも本当の答えがあるのか

わからなかった。NO NAMEは混乱する頭を停止させ、瞳を閉じる。

ただ純粋に、あたしは、みんなと……

「ま…お前の願い事を叶えてやるよ…俺も夢次元っていう神だからな」

「どうゆうこと?」

夢神は微笑むと、地面から光が放たれた。

だんだんと白くなっていく視界の中、最後に見えた夢神の顔に心臓が止まったような気がした。

見たことあるような笑顔で、どこか忘れていたような笑顔で。

どうしてそんな顔をしてるの?

なんだか、悲しそうだね。






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