NARUTO | ナノ
01023/3
目の前で怯える子供を見てはいられなかった。
声もでないほどの恐怖を目の前にしているような青い顔は、
“殺さないで”そう訴えていた。喉元まででかかった言葉は出せずに、
父へと顔を向けた。
「NO NAME、殺せ」
「でも、この人は無関係です…」
「見られたんだ、しょうがない、それとも…」
できないと、言うのか?
冷たい言葉で言い放たれる父の言葉に小さく顔を歪めた。
父の瞳が細まると、次に視界に見えたのは赤いものだった。
父のクナイが容赦なく子供を切り裂いていた、父は私を見ると、
そのクナイを私に渡した、そして言うのだ。
“お前が殺すんだ”
子供はまだ生きていた、切り裂かれた所からどくどくと血が流れ出しているのに、
手は震えていた、足も震えていた、開かれたままの瞳からはぼろぼろと声も出ない涙が溢れ出していた。
もう一度囁かれた父の言葉に瞳を閉じると、再度開いた。
ぎゅっとクナイを強く握ると、子供心臓めがけてクナイを降りおろした。
何かが変わったような気がしたのだ。
身体をつなぐ糸がより太く頑丈なものになって、私をつなぎとめる。
真っ赤に染まった子供の瞳は閉じられぬまま私を見上げているが、
もう手も足も動かなかった。
私の瞳からは何もでなかった、すっかり乾ききってしまったのだ。
何もかも。
それから一人前と認められた私は任務をたくさん授かった。
人殺しという、任務を。
たくさん人を殺して、殺して、でも心臓も心も喉も、全部が乾ききっていたのだ。
「この男を殺せ」
あるとき父から授かった任務に頷くと、その男がいるという場所まで行った。
ある里の強い忍らしい。
でも私なら勝てるよ、そう母に言い聞かされていた。
でも違った、私は彼にあった瞬間、身体が崩れさってしまったかのように
動けなかったのだ。
まだ知らない感覚に気持ち悪さを覚えたのと同時に
私を繋ぐ糸が弱まった気がした。
「…君は、誰」
彼の声が鼓動を早くする。
「私は、」
見つめ合ったらもう話せない青い瞳を魅入ってしまったのだ。
彼の全部が好きになってしまった。
もう、もう反らせない。
「私は、貴方を殺しに来たの」
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