MATEROAL | ナノ

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Windmillのカウンター席に座りながら、紅茶を飲むNO NAMEの隣に座り込んできたのは幼馴染の二人だった。

「NO NAMEちゃん、こんな所でなにやってるの?」

「あ、分かった雪成先輩との待ち合わせだ」

「違うよ」

「え、違うの?だって今日はバレンタインだよね」

翔と翼はきょとんとした顔を向けてくる、確かに今日はバレンタインだ。

ってきり二人はNO NAMEがチョコを渡すためにここにいると思い込んでいるようだった。

NO NAMEはため息をつくと憂鬱そうな顔でまたため息をついた。

「さっきからこの調子なんだ」

伊吹は数分前にこの店にやってきたNO NAMEを見ていたが、さっきからため息ばかりこぼしているらしい。

当の本人もなんだかいつもより元気がなさそうだった。

「なに?いつもは無駄に元気なのに…」

「なんかあったの?」

「やー…それね、雪成にチョコを渡そうと思って高校の門で待ってたんだけど…」

「それで?」

「雪成が出てきて、駆け寄ろうとしたら大勢の女の子達が出てきて、雪成を囲んで…」

「まぁ、大体想像はついたよ」

つまりNO NAMEは人気者の雪成は既にチョコをたくさん貰っているから、

自分のチョコなどもらっても嬉しくないのかもしれないと思っている。

それを勘づいたふっと笑った。

「大丈夫だよ、もっと自信を持ちなよ」

「それとも…俺がそのチョコ貰ってやろうか?」

冗談混じりの言葉だとNO NAMEは思っていたが、自分に向けられた翔の目線が真剣なことに気づく。

「え、そんなにチョコが食べたいの?」

「はぁ…?だからー、」

翔の言葉を翼は途中で止めると、微笑みを浮かべた。

「とにかく渡してみたら?絶対大丈夫だって、NO NAMEちゃんからチョコ貰えない方が落ち込むと思うよ、先輩」

確かにいつも少し男の子と喋っている所を見かけられるとその後機嫌が悪くなるし、

こうゆう行事もスルーしてはいけないかもしれない。

「…じゃあ、いこっ」

「いってらっしゃーい!」

「……ちっ、」

NO NAMEが出ていくと同時に舌打ちをした翔に翼は微笑みを浮かべた。

「奪いたいなら、正々堂々とね、翔」

「…ちょっとはチャンスをくれたっていいだろ」

「俺はどっちの見方もしないよ」

二人のやり取りも見ながら伊吹はため息をついた。

「(大変だな、若い奴らは…)」



   

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