奇跡なんてなまぬるい | ナノ

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「…お嬢様!?」

「……は…?」

え、何…?

目の前にいるイケメン紳士みたいな顔の人
は心配そうな顔で“お嬢様”と言っている

でも、なぜ私の目の前で……

そうか、私の後ろにお嬢様がいるのか。

「…」

「お嬢様?!?!」

「?!」

後ろに人がいるなら、と思い、
横にズレると予想外に私の肩を掴み男は
まじな冷や汗をかいている。

「なっ、なんですか…?!」

おいおいおい。

いくらいつも何かあっても冷静そうな顔を
保っているNO NAMEちゃんも
びっくりしちゃうよ、

いや、実はいつも平然そうにしてて
実は中ではみんな以上にびっくりしてたり

まぁこの話は置いといて……。

目の前の男はあたしをじぃーっと見ると、
段々潤めになってきた。

「…ぅ…お嬢様ひどいですよ…!!」

「は、はい?」

「いくら止めた俺が嫌いだからって…!」

「あの…ぉ……」

「っ…うっ……」

なぜ目の前の男は泣いている…?!

あたしなにかしました…?!

分からないんですけど…

しかも、お嬢様って……は?

「あの…人違いじゃぁ…?」

「何言ってるんですか!!!」

「いやぁでもあたし、お嬢様じゃなくて、
一般人ですけどねぇ…」

「まだしらばっくれる気ですかぁ!!!」

「いやいやいや。」

イケメンなのに、泣き虫とは残念だよ…

まぁそこが萌える人とかいそうだね…ふ。

「…本気なんですか?」

「うーん…本気の本気だけど…ごめんね」

段々可哀想になってきたよ、もう…

誰だよこいつのお嬢様!!!

泣かせるなよ!!!

「……記憶喪失とかじゃないんですか!!」

そりゃ大変だ!と引っ張られ黒い高級車に
乗せられる。

「ちょ!待ってよ!!私お嬢様じゃないって!」

「なんだこいつ、とうとう壊れたか」

「は?!」

誰が壊れたって?!?!

気づけば隣の席にさっきとは違う男が
座っている。

なぁ!!こっちもイケメンやなぁ!!
さっきの泣き虫男とは感じが違くて…
なんかクールっぽいね…!

「お嬢様は記憶喪失なんだよ青葉!!」

青葉…?

あぁ、このクール君の名前ね。

「湊、お前バカじゃねぇの…お嬢も湊を
からかうなって」

湊はこの泣き虫の名前ね。

「青葉さんに湊さん!!
私はお嬢様じゃなくて…!!!」

「「!!!」」

名前を言おうと思ったら二人の顔が
いっきに青ざめた、

そして青葉は携帯を手にして電話をかけ、
湊はまたボロボロと涙を流す。

そして、
「「やっぱり記憶喪失だー!!!」」

わぁーっ!!
っと慌て出す二人に段々呆れてくる。

もういい、どうでもいいや。

どうにかなれコノヤロウ。

ん、もしかしてこれは夢じゃないかな?

三歳の頃に

「お嬢様になりたあぁぃ!」

って言ってたような気がするよ…

きっとそれだな、
ったくなんで昔の願い事の夢なのかな

どうせならREBORN!の世界にいった夢が
良かったんですけど。

まったく、まぁしょうがない…
夢を満喫するか。

「お嬢、何も覚えてないのかよ…」

「いやぁ…まったくね」

「お嬢様…とにかくここがお家ですよ」

ドアが開くとそこには立派な……



「法隆寺…?」


「ここがお嬢様のお家ですよ…?」

「う、うっそーん」

法隆寺並みの家、って…

へ、へへ。

夢が怖くなってきたぜ、

あたしの欲望が法隆寺並みってことか?!
こんにゃろうーっ!!

家に入ると、そりゃ中も広い広い、

でもこんなにデカイ家なのになぜか人が
まったくいないね…。

「ねぇこの家はほかに人いないの?」

「お嬢が人嫌いっつーから俺たちだけだ」

ほんとに忘れたのかよ、と小さく
呟いた青葉に軽く笑っておく。

「でも正真証明お嬢様はお嬢様ですよ!」

「!」

ババーン!!!と効果音の出たかのように
湊があたしの差し出したのは写真。

「……」

なぜあたしがここにいる。

写真に写っていたのは今にも
ヤンキーにケンカを売るかのような顔した

…あたし。

と両脇に青葉と湊。

「…ふ」

そうか、やっぱりここは夢なんだな…

「認める、私はここのお嬢様ね、
おっけーおっけー!」

「アッサリだな……。」

「お嬢様…。」

「まぁ、しょうがないしね」

「その様子だと、信用するしかないな」

青葉がチラッとあたしを見るとため息を
こぼした。






ま、いつか覚める夢なんだし、


満足するだけするか、






     

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