2701 1/4 「・・・泣かないで」 薄暗い闇の中、私は目の前で涙を流す青年、ジュダルへと視線を向けていた。ずっと心の中で泣いていたのは彼だった、頬をつたわる彼の涙を拭えば、ひんやりとした感覚を感じた。温めるように触れて、なでれば彼の手は私の手を覆うように重ねられた。彼の涙が止まることを、幸せを、考えた。 「これからは幸せになれるよ、自由になれるよ」 ジュダル瞳が見開かれると、彼は小さく言い放った。“お前は・・・?”その言葉に微笑みを返すと、ジュダルの両手を握り締めた。大丈夫だから、と返して瞳を閉じた、がジュダルの手の力が強まると同時に発せられた言葉は、怒りの混じった声だった。 ――ふざけるな 本気で彼が私に怒りをぶつけたような気がした。今までとは違う、何かが違う感情。強ばった彼の表情、瞳は私を射抜くと、私の手を振りほどいて、彼はまた雫を零す。恨まれたっていいよ、貴方が反対したって、私は、貴方の幸せを願うよ。それしか償えないの。 怒りを向けるジュダルの表情は変わらず私を睨む、その瞬間ジュダルの身体にヒビが入っていき、ボロボロと崩れ落ちていく。まるで砂のように、壊れ果てていく、私に恐怖が襲う。そんな、やめて、食い止める方法も分からず立ち尽くす私にジュダルは微笑んだ気がした。何を意味するのかも、わからない。でも崩れかけていく彼の手はしっかりと私の手を握ってくれた。最後まで、形がわからなくなるまで。暖かいのに。苦しくてたまらない。 「やめて・・・やめて、」 消えないで、ジュダル [しおりを挟む] |