1701 1/2 私は彼に怯えていた・・・? 彼を可愛想だと思っていた・・・? 彼を、愛している・・・? もう、何もかもわからなくなってしまったようで 「腫れはひいたわね・・・腕は絶対動かしちゃダメだよ」 てきぱきと腕の包帯を変えるヤムライハさんの声も聞こえないまま、ぼーっと窓の外を眺めていた。あの青空の向こうには、何があるんだろう。幸せに暮らす人々、飢えに苦しむ人々、たくさんいると思う。その中で、その人生の中で何を見つけられるんだろう 私みたいな子が、きっといる 「NO NAME?」 「え・・・あ、ごめんなさい」 「大丈夫?」 その声に小さく笑えばヤムライハさんの表情はすこし驚いたような顔をしていた、無理もないだろう。あまり笑うことがなかった私が、しかもジュダルと再開した後の私が、なぜこんな笑みを浮かべているのだろう、と思っているに違いない。前までの私は、もっと・・・なにかに怯えているようなのに、強がっていた。 「ヤムライハさん・・・」 驚いた、自分自身も。彼と再開した後でも、傷つけられたあとでもこんなに普通でいられると思わなかった。なぜだろう、前の私は泣き叫んで苦しい、と喚いていたはずのに、心の変化に戸惑いを隠せなかったが、何かがはっきりとしていた。 「私、旅に出たいんです。アラジン達と・・・見に行くんです」 「・・・そうね、私も貴方にたくさんのことを見てほいい」 アラジンの手が暖かかったように、この世界にはたくさん温かいものがあるんだ。 そう、信じたいんだ。そしてどこかで私みたいな子を、助けたいと思ってる。 そしたら少しでも自分の汚さを、洗い流せる気がして。こびりついたものはもう落とせないけれど、それでも・・・。 「それに・・・」 俺がどこまででも追いかけてやる 「私は彼から逃げなきゃいけないんです」 私には、見に行かなきゃならない世界がある。 ただ、すこし・・・捕まった時のことを考えて、腕がいたんだ [しおりを挟む] |