1501 1/2 「僕たち迷宮へ行くんだ。」 そう言ってアラジンとアリババ、モルジアナ、そして白龍皇子までもが迷宮に行ってしまった。私は行っても足でまといになってしまうだけの、非力な女。何をすればいいのかもわからずに、ただ呆然と時が過ぎるのを待つ 部屋の椅子に座ってぼーっとしていると、なんだか思い出してしまう。何もしなかった、何もできずに、ただ彼のそばにいたあの時を。息が苦しくなる、どうして思い出してしまうんだろう。ヤムライハさんと約束したのに、彼のことはもう考えないと、思い出さないと。なのに胸がナイフで突き刺されたみたいに痛い。 苦しい ――苦しいか?NO NAME 「・・・・・・誰」 頭の中、いや体の中で響いたような声に思わず立ち上がる。でも部屋には当然のように誰もいない。息を吐き出して、深呼吸すれば、部屋を出ようと歩み始める。 部屋に閉じこもっているからダメなんだ、自分でなにかを探しに行かないと。シンドバット様になにかできることがないか聞きにいこう。廊下を歩んで、シンドバット様の姿を探せば、すぐに姿は見つかる。だがシンドバット様の歪む表情を不思議に思えば、シンドバット様の視線の先に視線を向けた。 目に入った人物の姿に、息が止まりそうになった。 鼓動の音がだんだんと大きくなっていく、鼓動を刻むたびに身体が揺れていく。壊れてしまいそうだ、あまりにも大きな振動に身体が・・・壊れてしまいそう ずっと胸の中にあった、私の心臓を縛り付けるようなその瞳と瞳が交差すると、彼はニヤリと口元を釣り上げた 「よぉ・・・NO NAME」 彼の名は、ジュダル 私を殺さないと、生かした男 [しおりを挟む] |