1401 1/2 「お久しぶりです、姫様」 「NO NAME!!会いたかったわ!一体どこにいったのかと思えば・・・」 白龍皇子と一緒に来ていた紅玉姫様との面会を許されて、この姫様の部屋に招かれた。嬉しそうに笑顔を浮かべる姫様に、微笑むと、不思議そうに紅玉姫は私を見る。 「・・・どうしました?」 「いえ・・・なんでもないわ、それより良かったわ。貴方と会えて・・・」 「私もです」 紅玉姫様とのお話はいつも楽しかった。このシンドリアの王であるシンドバット様の話をするときの姫様の表情はすごく素敵だったから、 「私ね、頑張ろうと思ってるの」 「はい、チャンスですよ」 姫様はゆっくりと頷くと、ぱっと顔をあげた。 「・・・・・・貴方は、どうしてジュダルちゃんの元を離れたの?」 「・・・え」 心臓が鼓動を刻んでいく。痛い、重い・・・。どうして・・・?私は、シンドバットさんに連れられて・・・。離れたかった・・・?ジュダルと、 「貴方たち、すごく愛し合っているように・・・見えたんだけど。確かにジュダルちゃんは少しやりすぎたところもあっただろうけど」 ――愛し合っていた 私たちが・・・?愛し合っていた。 脳内が途切れ途切れに聞こえるジュダルの声でいっぱいになっていく。嫌だ、やめて、痛いよ・・・重いよ・・・。 「でも、もう戻らない方がいいわ」 その声に、我に帰る。息をゆっくりと吐き出すと、姫様の心配そうな顔が私を見た。 「ジュダルちゃん、貴方がいなくなってすごく荒れてね、戻ったら・・・貴方何をされるかわからないわ」 「・・・あ、」 ――何を、される? 首を絞められ、ナイフで切り刻まれ、たくさん殴られるに決まってる。そうだ、彼は・・・私を・・・ お前には、それが幸せなのか? 「・・・・・・、」 息がつまりそうだ、わからない。彼の気持ちも、私の気持ちも、ぐちゃぐちゃになって、一体、何に・・・なるの・・・? その時、部屋をノックする音が聞こえた。扉の向こうから聞こえたシンドバット様の声に姫様は顔を赤らめる。 「少しお話したいのですが、いいかな?」 「は、はいっ・・・!」 「・・・・・・では姫様、私はこれで」 頑張るわ、と言って笑顔を浮かべた姫様にお辞儀をすると扉を開いた。外に立っていたシンドバット様の視線が私に向くと、シンドバットさんは小さく笑う。頭を下げて、その横を通り過ぎた。 [しおりを挟む] |