1201 1/2 「お嬢ちゃん、可愛いね」 「!」 肩に伸ばされた手にびくつくと、私を見下ろしていたおじいさんはにこやかに笑う。 「これ食べるかい?この国に住むんだろう?」 手渡された果物に、優しい笑顔。この国の人たちはみんな、幸せそうだ。自分まで、幸せな気分に浸ってしまいそう。ヤムライハさんがちょっと待っていて、といったので、酒屋の指定されたテーブルの席に座り込んで、すっかり暗くなった夜空を見上げた。 空は変わらない。どんな人にだって、同じ空が見えているはずなのに。 「・・・どうして、同じ世界に生きる人間は、違うのかな」 「・・・・・・その質問には、今は答えられそうにないな」 いきなりきこえてきた声にすこし驚くと、隣の席にはシンドバット様がいた。にこりと笑ったシンドバット様の薄い唇は再び開く 「・・・俺は、そんなみんなが幸せになれる国をつくりたいんだよ」 「・・・・・・、」 その願いは叶うだろうか、叶ってほしい。この国を築けたこの人ならば、できるんじゃないだろうか。 「・・・・・・今、笑ったか?」 「え、」 すっと伸びてきた手が頬に触れると、びくりと背中を震わせてしまった。それにシンドバット様は小さく息を吐き出すと、すっと腕を引き戻した。 「すまん」 「いえ・・・すいません」 「ちょっと!なに勝手にNO NAMEと話してるんですか?!」 戻ってきたヤムライハさんは手に飲み物と食事を抱えていて、シンドバット様を見ては嫌そうな顔をした。そのあと、シンドバット様に仕える二人がシンドバット様を回収しに来た。 「・・・はぁーあの人まだ仕事残ってるのにまた抜け出してきたのね」 「・・・でも、すごくいい王様ですね」 「ええ、そうね」 [しおりを挟む] |