追わないから逃げないで | ナノ



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青年、NO NAMEを自らの部屋に置く青年の名前はジュダル。

彼は煌帝国の神官だと言った。NO NAMEを殺さないと言った。

生かす、と言った。それはNO NAMEには死ぬことよりも残酷なことだった。

「お前…遅すぎ」

そうは言いながらもジュダルの口元からは熱い息が吐かれている。

NO NAMEはこれが自分の精一杯で、これ以上行為を早くするのは不可能だった。

だからこの早さのまま、ジュダルのものをくわえていた。

それでも器用に頬張っているせいか、ジュダルにこみ上げているのは快楽だった。

それが限界まで近づいている、いつもより高い声が自分からこぼれ落ちる。

「…NO NAME、」

熱い息と共に吐き出されたのはNO NAMEの名前だった。

「もう、いい…っ…」

苦しそうに、でも甘いそのジュダルの声にNO NAMEは少し目を見開いた。

衣服の乱れを直していたジュダルはNO NAMEを見ると、ゆっくりと瞳を細める。

彼が何が言いかけた時、部屋のドアを叩く音が聞こえた。

すると高い女の声がした。

「神官様、紅玉様がお呼びですよ」

その声にジュダルは顔をあげると、そのまま扉を開く。

開かれた扉から現れたのはやはり女だった、ここの女官のようでジュダルに頭を下げる

「しょうがねぇ」

ジュダルは息を吐き出すとそのまま部屋から出ていく、女官が扉を締めようと手を伸ばす前にジュダルの手によって扉が締められた。

だがその一瞬の間にNO NAMEの瞳と女官の瞳は交差していた。


   

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