0601 1/2 重たい瞳を開けると、誰かに抱きしめられていることに気づく。 NO NAMEの身体を抱きしめていたのはジュダルで、ジュダルは深く瞳を閉じていた。 NO NAMEは瞳を細くして、ジュダルを見つめた。 「(なんで、ジュダルは…)」 自分にあんな真似をしたんだろう、と疑問が頭の中で広がっていた。 自分が泣いていた理由も整理がつかないままだった。 昨日、泣き止むまで抱きしめてくれたジュダルは、落ち着いた後でも手を離すことはなかった。 「……、」 NO NAMEには訳がわからなかった、今まで自分を傷つけることで快感を覚えていたジュダルの行動が。 そして自分の変わりようが。 頭に響くのはあの女官の言葉、胸を締め付けて、心を痛めつける。 「っ…う、」 自然とまたこぼれ落ちた涙、NO NAMEは思わず近くにあるジュダルの顔を見つめた。 頬を伝わる涙を抑えながら、ジュダルが起きないように手を振り払うとベットから出た。 「(やだ、泣いているところなんか見せたくない)」 私が泣いたら、 彼はまた、苦しそうな顔をするのだろうか。 搾り取られたような声で私の名前を呼ぶのだろうか。 NO NAMEは思わず部屋の扉に手をかけた、一瞬戸惑ったが、ゆっくりと扉を開く。 扉の向こうの世界は、想像していたとおりの所だった。 王宮の中だとは分かっていたが、NO NAMEは目を見開く。 「ちょっと、そこの貴方」 高い声にNO NAMEの肩が震えた。 振り向くと、そこには綺麗な女性が立っていた。 服や飾り物からして、自分よりずっと高い地位にいる人だと理解する。 「……女官じゃないわよね」 近づいてきた彼女に思わず息を呑む、本当に綺麗な女性だったからだ。 自分とは比べ物にならないくらいの美しさ、 「…貴方、もしかしてジュダルちゃんの」 「……あ、の」 彼女が瞳がNO NAMEに向けられると同時に、NO NAMEの瞳が揺らぐ。 その瞬間、NO NAMEの腕が引っ張られる、 「ジュダルちゃん」 NO NAMEは突然現れたジュダルを見上げると、ギリっと掴まれた腕に痛みを感じた。 ジュダルの瞳は細く、笑顔を浮かべることはない。 「ババァ、どっかいけ」 「……はぁ、いいけど、女の子を泣かすなんて男として最低よ」 彼女は静かにそう言うと、立ち去っていった。 それをジュダルは確認すると、ぐいっと腕をひいた。 [しおりを挟む] |