1803 3/3 彼女の決断を揺るがすことはもうできないと確信した。だからそ苛立つ思いと、不安な思いが交差する。彼女だからこそ、ジュダルとの関係を持つ彼女だからこそ、ここまで自分の頭を悩ませる。深く息を吐き出せば、近づいてきたジャーファルのため息が聞こえた 「彼女を引き止めることはできませんでしたか」 「ああ・・・」 彼女と同じような瞳を、ずっと前に見たことがある。揺らぐことのない、あの瞳に自分の心を探られたような思いになる。ジャーファル達と世界を飛び回っていたあの頃の自分には大きな衝撃だった、求めたけれど、自分の手には収まらなかった、あの瞳。だからこそ、胸の中で煮えきるこの想いが憎らしい。 「・・・ジュダルの気持ちがわかるような気がするよ」 なんて、なんて愚かなことだろう。人の気持ちとは、簡単に自分の心を変える。 「彼女を縛ってでも、ここへ繋ぎとめておきたいぐらいだ」 さらけ出してしまいそうな心を、押さえ込んで、 俺は彼女に微笑むだろう。 [しおりを挟む] |