追わないから逃げないで | ナノ



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「それでこそ我が王国のマギだ・・・」

目の前で笑う紅炎、にやりと唇をつり上がらせる。

これからなんだよ、これから面白くなんだよ。

あのシンドバットと戦争ができるんだからな、

「・・・ジュダル、お前の探していた女は見つかったか」

ぴくりと、その言葉に瞳を細めた。そしてすぐに笑みを浮かべる

「ああ、シンドバットのところにな」

「・・・・・・連れて帰ってはこなかったのか、一度見てみたかったが」

「あぁ」

頭の中で浮かぶ、NO NAMEの姿に、にやりと笑う。

あいつがどこまで逃げようが、関係ない。追いかけてやればいいのだから。

もう、泣くこともない

あいつが部屋に帰ってこなかった日、探し回っても見つからなかった日、

瞳から涙ばかりがこぼれ落ちて、空っぽになったような心だけがあった




――誓う





「・・・バカじゃねぇの」


誓ったところであいつを縛りはできなかった、俺の手から離れていったのだから

あの約束も言葉も、嘘。あいつの涙も、嘘。涙を流して喚いていた自分は・・・嘘だったか?

なわけねーだろ、だからこんなにもあいつが欲しくて、たまらないんだ。

「・・・追いかけてやるよ」

胸を支配する、想いの名前は、なんだっていいさ。

ただあいつが俺の傍にいれば、手に入れられれば、それでいい。

それが、どんな形であろうとも。

「ジュダル」

紅炎の言葉に顔を上げれば、紅炎の表情は険悪そうだった。俺を睨むその瞳、

「なぜ泣いている」

いつのまにか頬を濡らしていた涙に、笑みを浮かべた。

「・・・なんでだろうなぁ」


















笑ってるのに、泣いてる









   

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