1702 2/2 「それでこそ我が王国のマギだ・・・」 目の前で笑う紅炎、にやりと唇をつり上がらせる。 これからなんだよ、これから面白くなんだよ。 あのシンドバットと戦争ができるんだからな、 「・・・ジュダル、お前の探していた女は見つかったか」 ぴくりと、その言葉に瞳を細めた。そしてすぐに笑みを浮かべる 「ああ、シンドバットのところにな」 「・・・・・・連れて帰ってはこなかったのか、一度見てみたかったが」 「あぁ」 頭の中で浮かぶ、NO NAMEの姿に、にやりと笑う。 あいつがどこまで逃げようが、関係ない。追いかけてやればいいのだから。 もう、泣くこともない あいつが部屋に帰ってこなかった日、探し回っても見つからなかった日、 瞳から涙ばかりがこぼれ落ちて、空っぽになったような心だけがあった ――誓う 「・・・バカじゃねぇの」 誓ったところであいつを縛りはできなかった、俺の手から離れていったのだから あの約束も言葉も、嘘。あいつの涙も、嘘。涙を流して喚いていた自分は・・・嘘だったか? なわけねーだろ、だからこんなにもあいつが欲しくて、たまらないんだ。 「・・・追いかけてやるよ」 胸を支配する、想いの名前は、なんだっていいさ。 ただあいつが俺の傍にいれば、手に入れられれば、それでいい。 それが、どんな形であろうとも。 「ジュダル」 紅炎の言葉に顔を上げれば、紅炎の表情は険悪そうだった。俺を睨むその瞳、 「なぜ泣いている」 いつのまにか頬を濡らしていた涙に、笑みを浮かべた。 「・・・なんでだろうなぁ」 笑ってるのに、泣いてる [しおりを挟む] |