1602 2/2 「お前が彼女を縛ってることに気づかないのか!?」 シンドバット様の声が響くと、ジュダルは一度瞳を閉じた。そして再度瞳を開くと、笑みを浮かべる。 「何が悪いんだよ」 「ジュダル・・・!」 「いちいちうっせーな、シンドバットよぉ・・・おい、NO NAME」 びくりと、心臓が跳ねた。汗が体中から出ていくのがわかる。凍りついた背筋がゆっくりと伸びると、彼を見上げた。その顔は先ほどと同じ、笑みで。楽しそうな、殺したそうな、そんな顔だった。 「お前が逃げようが、関係ねぇよ。俺がどこまででも追いかけてやる」 息をすることも忘れて、呆然と彼を眺めた その言葉の意味も、理解したくないとでもいうかのように、頭が真っ白になっていく いや、真っ黒になっていく。 でもその中でうつるのはやはり彼、ジュダルの姿で。 涙を流しているのだ、彼はジュダル?違う、違う・・・ジュダルは目の前の。この男だ 暗闇で泣いているのはジュダルなんかじゃない。 「逃げられると、思うなよ」 お願い、その笑顔を浮かべないで [しおりを挟む] |