追わないから逃げないで | ナノ



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「お前が彼女を縛ってることに気づかないのか!?」

シンドバット様の声が響くと、ジュダルは一度瞳を閉じた。そして再度瞳を開くと、笑みを浮かべる。

「何が悪いんだよ」

「ジュダル・・・!」

「いちいちうっせーな、シンドバットよぉ・・・おい、NO NAME」

びくりと、心臓が跳ねた。汗が体中から出ていくのがわかる。凍りついた背筋がゆっくりと伸びると、彼を見上げた。その顔は先ほどと同じ、笑みで。楽しそうな、殺したそうな、そんな顔だった。

「お前が逃げようが、関係ねぇよ。俺がどこまででも追いかけてやる」

息をすることも忘れて、呆然と彼を眺めた

その言葉の意味も、理解したくないとでもいうかのように、頭が真っ白になっていく

いや、真っ黒になっていく。

でもその中でうつるのはやはり彼、ジュダルの姿で。

涙を流しているのだ、彼はジュダル?違う、違う・・・ジュダルは目の前の。この男だ

暗闇で泣いているのはジュダルなんかじゃない。







「逃げられると、思うなよ」







お願い、その笑顔を浮かべないで




   

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