追わないから逃げないで | ナノ



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目を覚ますと、見たことない天井が目に入った。

みすぼらしい天井しか見たことのないNO NAMEにとっては、その天井だけで

今自分がいるこの場所は今まで自分が行ったことない、豪華な場所だと理解する。

もう一度瞳を閉じて開ければ、自らの身体を起き上がらせる。

重たいその身体が起きれば、NO NAMEはベットの上にいることを察知した。

息が聞こえた、自分じゃない誰かが呼吸する音。

NO NAMEのすぐ傍から聞こえた音だった、それはすぐ横からのもので。

視線をそこに向けると、瞳を固く閉じているあの青年の姿があった。

青年はNO NAMEのすぐ横で眠っていた、まったく気付かなかったNO NAMEは

そのままぼんやりと青年の顔を眺めていた。

すると小さな声だったが、NO NAMEの耳に青年の声が届いた。

「…お前、名前は?」

それにNO NAMEは小さく息を吐くと、口をゆっくりと動かした。

「NO NAME……」

目を閉じたままだった青年は半分瞳を開くと、視線をNO NAMEへと向ける。

瞳を細めている青年をNO NAMEは見下ろしていた、すると急に視界は揺らぐ。

気づいたらNO NAMEはベッドに押し付けられ、上には青年がいた。

その反転した状態にNO NAMEは少し目を開く。

それに青年は小さく笑みを浮かべると、両腕でNO NAMEの首を掴んだ。

「っ…ぁ…」

首元に熱がこもる、整理的な涙が瞳に浮かぶと同時に首元にあった力が抜ける。

「はっ……」

小さく息を吐き出した青年は笑っていた、弧を描くその口元が近づくと、

唇に触れる。強引に唇を割って侵入する舌にNO NAMEの瞳は再度見開く。

何度も離れてはまた触れる。その行為を繰り返した。

そしてその行為が止むと、ゆっくりと青年は顔を離した。


「お前は殺さない、生きるのが怖いんだろ?だからお前を生かす」


楽しそうに、面白そうに見下ろす青年の姿をただ呆然と見つめていた。

奴隷の私は死んだ。

でも私は死んでない、まだ、生きてる。




   

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