追わないから逃げないで | ナノ



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「あの…、ジュダル……っ」

腕をひかれてNO NAMEが連れてこられたのは部屋ではなかった。

青空が広がる、庭。

そこの一つの木の前でジュダルは無言でNO NAMEを見下ろすと、

そのままNO NAMEを抱き上げた。

「っ、」

突然の浮遊感に驚いたNO NAMEは瞳を見開いたが、ジュダルが軽く地面をけると、

視界が揺らぐ、

気づいたら、木の太い枝の上に立っていたジュダル。

そこにジュダルは座り込むと、膝の上にNO NAMEを向かい合わせるように座らせる。

戸惑うNO NAMEを無視して、その揺らぐ瞳を見つめた。

「…赤い、」

そっとNO NAMEの瞼にジュダルの手が触れる、そしてジュダルは小さく息を吐いた。

「たまには、外に出たいだろ」

「……じゃあ、私を…解放して」

そんなこと言ったら殴られるに決まってる、そう思っていたNO NAMEだったが

ジュダルの拳はNO NAMEの髪を撫でるだけだった。


「お前には、それが幸せなのか?」


その言葉に、NO NAMEは唖然とした。

ジュダルの細く開かれた瞳がじっとNO NAMEを見つめる、

その瞳からは今までと違う何かが発せられているようだった。

「幸せ…?」

「お前はまた奴隷にされるんじゃないのか」

それを考えるだけでNO NAMEは背中を震わした、

そんなNO NAMEを安心させるようにジュダルは背中をゆっくりと撫でると、

NO NAMEを抱きしめた、

「俺、最近変なんだよ……きっとお前のせいだ」





その言葉がNO NAMEの胸に入ると、




鼓動を少しずつ早くさせた。








   

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