0402 2/2 「くそっ……」 気に食わない、気に食わない、気に食わない。 胸の中で渦巻く気持ちに気持ち悪さを感じて、息を吐き出す。 村一つ分を滅ぼしたい、 ああ、気に食わない。 煌帝を出て、やってきた砂漠の中にある村を見つめた。 「ジュダル、こんな所で何をやっている」 聞こえた声にジュダルはゆっくりと微笑むと、後ろを振り返った。 そこには顔を歪めて立っている、面白く見込みのある王、シンドバット。 「よう、バカ殿」 シンドバットはゆっくりとジュダルを見つめると、小さく口を開いた。 「……何をしにきた?」 村を眺めるジュダルを不信に思ったシンドバットは警戒していた。 「別に」 いつもは怪しく微笑むジュダルだったが、ジュダルの顔は強ばっていた。 それにシンドバットは眉間にしわをよせた。 「様子が変だな、嫌なことでもあったのか?」 「関係ねぇだろ」 やはりおかしい、とシンドバットは感じていた。 いつも以上にピリピリする空気に思わず身構えるが、ここで大きな戦いはできない。 「なぁ、女ってのはいつもビクビクしてるもんなのか?」 予想外のジュダルの言葉にシンドバットは唖然をした。 だがジュダルの顔つきは変わらない、笑うことさえない表情。 「…なんだ?お前、気になる女でもいるのか?」 「気になる…?」 ジュダルは顔をしかめると、瞳を閉じた。 「まぁ、いいや…殺さないように気をつけるだけだし」 「お前、それはどうゆうこと…」 シンドバットの言葉が終える前にジュダルはゆっくりと微笑むと、 姿を消していた。 ジュダルの姿があった所をシンドバットは見つめると、 ため息をこぼす。 「ジュダルの、お気に入り……」 [しおりを挟む] |