疑問がつのる 1/5 「どうしたのよ、NO NAME」 「なんでもない・・・、」 ロックハート先生が開く決闘クラブを見に行こうと歩いている途中話しかけてきたハーマイオニーにそれだけ返すとハーマイオニーはなんだか不思議そうな顔をしていた。 浮かない顔をしているわけでもない、私はどちらかというと考えている。ランとルーズの奇妙な行動のわけを。一人でいるなとか、ハーマイオニーと二人だけになるなとか。もちろん理由は話してくれない、だから私はそれを承諾しなかった。だって変だし。 決闘クラブの部屋の扉を開くと、そこにはたくさん人が集まっていた。 決闘クラブなんて正直くだらないな、と思う。人と決闘するなんて、私にはできそうにない。ロックハート先生とスネイプ先生のお手本が終わって、次に段に上がらされたのはハリーとマルフォイだった。 内心、げ・・・、と思いながらマルフォイを見ているとふいに目が合う。だが彼はすぐにそらして、目線をハリーに向けた。 「ハリー、頑張れ」 普通にハリーが勝つだろうと思っていたらマルフォイの卑怯な手にハリーが倒れてしまったり、でもハリーだって負けてない。 するとマルフォイの出した蛇に周りから悲鳴が聞こえた。みんなの怖がる顔が見える。でも蛇よりも、ハリーの方を怖がっていた。ハリーが蛇と会話したからだ。 みんなはあれからハリーが継承者だっていうけれど、絶対違う。ハリーはスリザリンなんかじゃない。どこもかしこもハリーの噂で気分が悪い、みんなハリーを怖がるから。そんな簡単にハリーが継承者だって決めないでよ 図書室のいつもの席で本を片手にハリーの誤解が解ける方法を考えていると、前の席に座ってきた人物に顔が歪む 「図書室なんてこなそうなのに・・・なにしにきたの?」 「なにって、本を読みに来たんだよ」 前に座ってきたのはルーズだった、彼は本なんて滅多に読まないし、図書室にきたところなんて見たことない。そしてなんでわざわざ私の前に座るのかがわからない、これは何かされそうだな、と思って様子を見ることにした。 「・・・あ、そうですか」 本に視線を移して、ハリーのことをまた考え直した。途中でちらりと本から視線を外してルーズの方を見てみると、彼とばちりと目が会う。ルーズは椅子に浅く座って背中を背もたれに横たわらせて腕を組みながら、私を眺めていた。そんな状況に耐え切れず眉を寄せるとルーズは口を開いた。 「そういえばお前・・・飛行訓練どうしたんだ?」 「なんでその話になるの・・・」 飛行訓練は一年だけで本当によかったと思う。でもセドリックとの訓練は続いていて、飛行するのは嫌だけどセドリックと会うことは正直うれしかった。 「飛ぶぐらい楽勝だろ」 「貴方と一緒にしないで!もとわと言えばルーズのせいでしょ!!」 幼い頃、二人にほうきに乗せられたのがトラウマで仕方ない。あの時は本当に怖かった。憎んでも足りないぐらいだ。本を閉じて席を経つと、図書室から出た。でも数メートル後ろをついてくるルーズに睨みをきかせる 「ちょっと!ついてこないでよ!」 「俺と行く先が同じだけだろ」 「うっわ、気持ち悪い」 なんなの、こいつ。本当に意味がわからない。スタスタと早歩きで寮にめがけて歩いて、やっとのことで寮にたどり着いて、後ろを振り向けばやっぱりルーズは後ろにいた。数メートル離れて、ここまでくると、ルーズはゆっくりと私を見た 「寮に戻るのか」 「そうですけど」 「それならもう外に出るな」 それだけ言い残してルーズは立ち去っていった。あとからセドリックがルーズの隣にやってきて、一瞬目を見開いたけれど私はゆっくりと寮の扉を閉めた。 [しおりを挟む] |