如月の華 | ナノ



真実
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「ああー…セドリックぅ!!!!!!」

テレビの前で唸る女子が一人。

おいおい、いい年頃だっていうのに、だらしない。

なんて私には通じない。

今、高校二年の本当に青春を満喫しているような女の子なのに。

私はあのハリポタに夢中なの、

もうリアルなんて関係ない。

私はハリポタがリアルなんだから

ハリポタのDVDを見ながら、

表情を変えまくっている私を見て、

リビングに入ってきた兄が一言。


「気持ち悪い。」

スルースルー、

あんな兄のいうことなんか聞くか、ボケっ

てか本当に不死鳥の騎士団を見て、泣いたわ。

セドには死んでほしくなかった。

だって、だってええええぇ


「うわーん!!!!」


私が彼を助けられたら…。


そう、そんな軽い気持ちだったの。

いや、全然軽い気持ちなんかじゃないけど

本気だったけど。

そしたら目の前は真っ白になって。


「おい、死んだふりなんかしてもセドリックは帰ってこないぞ……おい…おい!!!」

必死に私に向かって叫ぶ兄の声なんかもう遠くなって、聞こえなくなっちゃった。

そしたらなんだか、胸の奥がすごく痛くなった。

きゅう、っと搾り取られるように、

私の胸から何かが破裂するみたいに。

悲しい思いでいっぱいになって。

だんだん苦しくなって、

涙が、溢れてきた。


抑えきれない悲しみと苦しみが一気に私を襲う。

そんなの耐えきれない。

死んだほうがマシ、そう思った。




そしたらふっと、体が楽になった。


さっきまでの苦しみが、消えた。


目の前は真っ白から、真っ黒になって。


もう、何も見えない。


でもその中で涙だけは止まらなかった、


私は一つの答えを見つけ出したが、


それを認めたくないらしい、





だんだん香ってきた甘い香り、





この香りは前に嗅いだことがある。


学校に登校する時に、いつも香ってくる香りだ


あぁ、金木犀。





確か、花言葉は…


「初恋」と…、










真実



受け入れたくない、真実。

私の全ては死んでしまった。

   

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